協会の活動:2017年07月

プラスチック循環利用協会講演会(2017年7月5日講演)

“川ごみ"が社会課題!?
〜川ごみから Think Globally Act Locally〜


川ごみが実は私たちの生活に深く関わっているということは、あまり知られていません。川ごみはいずれ海ごみとなり、地球規模の課題となります。課題解決の第一歩はまず「現状を知ってもらう」ことです。

今回、荒川クリ−ンエイド・フォーラム今村理事・事務局長から荒川を中心とした調査結果や新たな取り組みについて、また全国ごみネットワーク伊藤氏から川ごみに係る全国での取り組みについて、ご講演いただきました。その要旨を2回にわたってご紹介します。




■講演者プロフィール
今村 和志(いまむら かずゆき)氏
博士(工学)。専門は生態工学。遠州灘での環境活動をきっかけに海ごみ問題に関心を持ち、2016年「NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム」スタッフに入職。
2017年5月、理事/事務局長就任、現在に至る。

伊藤氏の講演内容はこちら

1.荒川河口の川ごみの現状
<川ごみ問題>


今日は「川ごみから Think Globally Act Locally」というタイトルでお話しします。この言葉自体は新しいものではありませんが、なぜ川ごみが“Think Globally Act Locally”なのかについて想像を膨らませながら聞いていただければと思います。

私は生態工学、主に海岸工学や河川工学に生物学を加えた分野を学んできました。社会人として働きながら大学院で学び博士号をとりました。愛知県環境部自然環境課に属したり、国際協力NGOスタッフとして東ティモール民主共和国でコミュニティビルディング事業の立ち上げに関わったりしてきました。

そんな私が川ごみ、海ごみに関わるようになったきっかけは、愛知から静岡まで110kmにわたって続く遠州灘でアカウミガメの調査をしたことでした。その当時は、5月から8月末までの3か月間強を、毎日休むことなく、ウミガメの足跡がないか20kmほどの範囲を車と徒歩で探しまわり、産卵場所やその環境について調べていました。

そんなある日、学生主体の虹のとびら(当時:現在はBLUE WALK)という団体に出会いました。遠州灘のうち、浜名湖の今切口から伊良湖岬を「表浜」というのですが、そのうちの50km(愛知県境から伊良湖岬まで)の海岸を10日間かけ、すべて徒歩で海の清掃をしているというのです。面白いことをするなと感心して、ウミガメ調査の傍ら、愛知県境から伊良湖岬まで、私も一緒になってこの活動に加わりました。活動をすることで数トンもの漂着ごみが集まり、これで砂浜はきれいになったと満足しました。その1週間後・・・台風が襲来し、清掃前の状態に戻ってしまいました。そんなことから、ごみを拾うことはもちろん大切なのですが、発生源をなんとかしなければこの問題は解決しないなとつくづく思いました。色々調べていくと、海ごみ発生経路の1つとなっているのが、街を流れる川や用排水路にあるということがみえてきました。人生を踏み外すきっかけです(笑)。


今、川ごみが問題になっていることを知っているかと、新入社員研修の場でおよそ1,000人に聞いてみたのですが、手が挙がるのはたったの数名。川ごみ問題への社会的な関心はまだまだ低く、依然マイナーな分野であると言わざるを得ないというのが実態です。「ペットの殺処分を減らそう」、「絶滅危惧野生動物を何とかしよう」といったことや、日常生活に関係する介護問題、子どもの貧困問題といったことなら、比較的、社会の関心も高く、様々な方面から支援していただけるのですが、「川ごみや海ごみを何とかしよう」と、例えばクリック募金を呼び掛けても、反応は芳しくありません。ということは、世間は、川ごみ、海ごみ問題を緊急性の低いものとみているということになります。


<荒川クリーンエイド・フォーラムの活動>
―源流から河口までのネットワーク―


「荒川クリーンエイド・フォーラム」について簡単に紹介させていただきます。組織名の「荒川」は、埼玉、東京を流れているあの「荒川」です。ご存知のようにこの川は、秩父を源流域として、東京湾に注ぎます。下図緑丸で示しているのが、江戸川区、江東区、戸田市、川口市など流域の区や市ということになります。

この荒川で河川の清掃活動をコーディネートしているのが私たちの団体です。2016年は158回の清掃活動が実施され、のべ約1.3万人の方々に参加していただきました。市民団体、企業、学校、自治体が主な参加者で、色々なセクターの大勢の人たちに、荒川で連携して清掃してもらうこと、「多セクター連携」実行が私たちの活動目的の1つとなっています。活動は、1994年から24年続いており、2016年、累計参加者数は20万人を突破しました。


<クリーンエイドとは>


組織名の「クリーンエイド(Clean-aid)」という言葉ですが、これは、Clean(きれいにする)とaid(助ける)を足し合わせた造語で、「川のごみを拾って、自然が回復するのを助ける活動」ということを示します。荒川クリーンエイド・フォーラムが目指すのは、「未来を担う子どもたちに豊かな自然を残すため」、「荒川流域での清掃活動を中心とした取り組みを通し」、「市民の環境保全意識を高め、生物多様性の保全に貢献」しようということです。

<活動財源について>


荒川クリーンエイド・フォーラムは、年間収入2,100万円程度、専従スタッフ3名、非常勤2名といった小さな団体です。専従3名が、「一緒にやりましょう」と川沿いの住民や企業等に呼びかけ、現場にも出かけて清掃活動に取り組んでいます。

行政・企業・市民(NPO)が連携して、ここまで河川清掃活動をやっているのは日本国内ではあまり事例がありません。また、私ども団体の自主事業として、企業の社員研修や社員交流イベントを企画から当日運営までサポートするものがあります。その他の財源として寄付金があります。年変動が大きく、去年は三井物産環境基金へのプロポーザルが採択されたこと等から寄付の割合が増加しましたが、通常は年間収入の1〜1.5割程度です。こういった収入のみで活動していますので、「自転車操業」というのが実情です。


<荒川下流域>


荒川の下流域(岩淵〜河口)は、かつて荒川放水路と呼ばれていた人工河川です。作られた川ではありますが、今ではオオヨシキリ、ベンケイガニ類、トビハゼなどが棲む、豊かな自然が創出されています。荒川の特徴の1つは、埼玉、東京と大都市圏を通っているため、流域人口約980万人と、日本で3番目の多さです。流域人口が一番多いのは利根川で2,210万人になります。流域人口に比例してだいたい河川の綺麗さに影響がでますので、よく多摩川(流域人口350万人)と比較されますが、荒川は多摩川の3倍の人口を抱え、影響を受けているということになります。



<河口現状>


荒川河口から3km上流地点の写真をお示ししました。ここは特異的に川ごみが溜まりやすいエリアで、このようなところが1kmぐらい広がっています。写真1に写っているPETボトル数はおおよそ3万〜5万個です。2016年2月28日、この場所を約50名で清掃したのですが、清掃から2週間もすると、プラスチックごみが再び点々と見えてくるようになりました。3月12日、2回目の清掃は120人で徹底的に実施。ところが、2週間経つとまたプラスチックごみが溜まってきました。3週間後には、さらに増えています。1か月も経つと、写真3のような状態に。この一連の経緯をみれば、どうして川ごみが社会課題といわれるのかよくお分かりになるのではないかと思います。定点観測して比べると、実態を浮かびあがらせることができます。この写真のエリアは、特にごみが集まりやすい特性がありますが、今、日本の河口は出水後には似たような状態になっています。

写真1清掃前

写真2清掃後

写真3 清掃1か月後

2.海ごみの現状について
<海ごみの由来>


海ごみはサミットでも取り上げられ、国連でもその対策が協議されています。現状のところ、まだ、川ごみが議論になることは少ないようです。いくつかの調査・研究結果によれば、海ごみの5〜8割は河川を伝って海に入ってくるといわれています。海由来のごみは漁網やブイが中心となりますので、それ以外のごみの多くは陸地由来となります。下図は荒川の流域を示したもので、国土交通省荒川上流河川事務所が作成したものです。荒川流域はこれだけ広いエリアですので、この一帯のごみが、少量でも川に流入すれば、そのまま海まで行ってしまうことが当然考えられます。この図が示しているのは、「川は悪者だ」ではなくて、「川がごみの通り道になっている」ということです。


<海ごみは世界を巡る>


日本沿岸に出たごみは、海流に乗り、遠くメキシコまで運ばれ、何年か経ってまた日本に戻ってくる循環ルートをたどることもあります。そしてこの循環ルートが取り囲むゾーンの真ん中に「太平洋ごみベルト」があります。ここは海流のよどみのようなところで、このベルトに入ったごみは、長い間溜まり、風波や紫外線によってどんどん細分化されます。目に見えないサイズのごみがここに大量に溜まっているのです。お見せしている地図にアカウミガメのマークを重ねてみました。なぜ重ねたかというと、ごみとアカウミガメには共通点があるからです。北太平洋産のアカウミガメは、日本近海でふ化し、旅立ちます。一部のグループはメキシコ近海まで行ってそこで大きく育って、また日本に戻ってきますが、海流を活用して移動しています。つまりウミガメと海ごみはつながっていて、私がウミガメの研究から川ごみの清掃活動に関わることになったのもしかるべきところだったのかもしれません(笑)。最近、Webニュースに2011年の東日本大震災によって流出した震災がれきの動きが掲載されていました。震災時に海に流出したがれきは、拡散しながら東へ東へと流れていきました。そして、また日本に戻ってきています。海ごみは世界を巡っています。


<国内・世界動向>


今、環境省中央環境審議会でも、循環型社会推進に向けてプラスチックごみ問題に関する議論が進められていますが、その審議会に東京農工大学・高田秀重先生が世界動向をまとめた資料を提出されています。その資料によると、2014年3月、米国サンフランシスコ市のPETボトルによる飲料水販売禁止、15年12月、米国でマイクロビーズの配合禁止、16年、英国でのレジ袋への課税といったプラスチックにとっては厳しい動きが続いていることがわかります。また16年9月、フランスでは「プラスチック製使い捨て容器や食器を禁止する法律」が成立し、3年後の20年から施行されるというところまでになりました。プラスチック製造業界の方から「プラスチックは非常に有用なもので、ノーベル賞をもらってもおかしくない」という話をお聞きすることがあります。プラスチックは私たちの生活に役立っていると同時に、厳しい目も向けられています。これらの海洋プラスチックごみ問題について、業界として早期に何らかの対処が必要です。このままではプラスチックの利用制限ということもあり得ないことではなさそうです。私たちとしては、そんなことにならないよう、ガバナンスの段階でうまくコントロールすることでプラスチックの有用性と管理の大切さを社会に認知してもらえるようにしていきたいとの思いがあります。


<海洋プラスチック汚染低減のための具体的対策>


では具体的な対策はどうしたらよいのでしょうか。このことについて、高田先生の「海洋プラスチック汚染低減のための具体的対策」に沿って考えてみましょう。この資料では、優先順位が高いものが上位に記されているようです。使い捨てプラスチック、特にレジ袋の使用規制などが挙げられています。末尾のあたりに「海岸清掃(行政、ボランティア)」の記載があります。さらに、「市民の意識の3R(削減ファースト)意識の啓発」が必要です。私たち荒川クリーンエイド・フォーラムの活動がまさにこれらになります。これらの資料は環境省のWebサイトに参考資料として示されていますが、今後この提言に沿って何らかの動きが出てくるものと思われます。

<発生源対策と早期回収>


プラスチックごみ対策には「発生源対策」と「早期回収」が重要です。プラスチックが劣化・微細化すると、回収は非常に困難になります。回覧している荒川で採取したマイクロプラスチックサンプルをご覧ください。これらは採取した土をふるいにかけて取り出しものではなく、河岸をすくっただけのものです。土とプラスチックが同じくらいの割合になっています。私どもの自主事業として新入社員研修をしている旨を申しましたが、参加者の感想に、「土がプラスチックと置き換わっていた」というものがよくあります。土の中にプラスチックがあるというのではなく、土がプラスチックに置き換わってしまっている状態なのです。


3.川ごみの発生源を探す
<川ごみはどこから?>


発生源対策としては、消費者の意識や行動を変えることも大切です。「早期回収」に当たる清掃活動への取り組みのみならず、発生源を抑制するため、消費者の意識、行動を変えることについて日々、頭を悩ましています。先日、ある協賛企業を伺った際、ご担当者から「当社は環境に優しい製品も販売しているが、なかなか売れない」と嘆かれたことがありました。まだまだ日本では、エコは付加価値になり難いようです。エコ商品として売り出しても、それによって値段が少しでも高くなったら、途端に買ってもらえなくなる。それが現実なのですが、そんな環境下でもなんとかして消費者の意識を変えていくようにするということがやはり大切だと思っています。

さて、川ごみはどこからくるかというと、もちろん不法投棄やポイ捨てによるものもあるかと思いますが、それ以外の要因も考えられます。下図右下の写真を見てください。これは、カラスがごみ袋をほじくっているところです。カラスが散らかしたごみが排水溝に落ち、排水溝から小河川に流れ、最後に荒川に到達するということも考えられます。希に喫煙者が煙草の吸殻を排水溝に放り込んでいるのをみかけますが、その吸い殻も出水時にはやがて荒川に流れていくかもしれません。カラスのいたずらについてはごみ用ネットがきちんとかけられていれば抑制できるでしょう。吸殻がポイ捨てされなければ排水溝に流れこむことはありませんので、管理をしっかりすることで、川に流入するごみの量を減らすことができそうです。これまでは川に流れてきたごみをとにかく掃除して減らそうと頑張ってきましたが、ごみの状況を多面的に見ることで、そもそもごみが発生しないようにすることも必要だということになってきました。自然災害は人間の手ではどうにもならず、洪水が起きてしまうとごみ置き場に出したごみが全部流れてしまいます。でも豪雨になりそうなときはそもそもごみをごみ置き場に出さなければよいのです。


<調べるごみ拾いの意義>


私たちのユニークな活動の1つとして「調べるごみ拾い」をあげることができます。長年に亘り海岸でごみの調査を続けているJEAN(Japan Environmental Action Network)が実践している海ごみの調査手法を河川版に適応させたものです。今、日本の川ごみに関して、40項目以上調べているのは荒川クリーンエイドともう1団体のあわせて2団体ぐらいではなかったかと思います。この調査は「世界基準」に沿ったもので、活動結果の「見える化」を図っています。単に清掃活動を24年間続けてきましたというだけでは、本日私はこの場所に立っていなかったでしょう。40項目以上からなる分類調査を続け、その結果を示し、問題を提起してきたからこそ、今日、皆さんとの信頼関係を築くことができたのだと思っています。こうして蓄積してきたデータは、例えば2009年の「海岸漂着物処理推進法」の制定の際にも活用されたとのことです。


<2016年回収散乱ごみの状況>


下図は2016年の調査結果上位15を示したものです。1位、2位、3位は隠してあります。1位はPETボトルです。ただ「調べるごみ拾い」は、拾いやすい目立つごみから拾ってしまうという欠点がありますので、目立ちやすいPETボトルはどうしても数が多くなり、実際8年連続1位となっています。2位はポリ袋、3位はタバコの吸い殻です。PETボトルは2016年に4万個以上ありましたが、調べるごみ拾いを実施しなかったエリアを含めると推定で年間10万個近くは回収することになっていたでしょう。


<飲料容器回収数推移>


次のグラフは、飲料容器回収数の推移です。特にPETボトルは、生産量に準じて回収個数が急増しています。生産量に完全に比例しているとまでは言えませんが、荒川での調査結果は生産量にほぼ準じて増えているようです。飲料缶は横ばい、飲料びんはやや増加の傾向にあります。紙パックは低位横ばいですが、紙なので河川中で溶解しバラバラになってしまっているのかもしれません。調査を地道に続けることで、色々分かってくるという事例です。


<効率的回収に向けた調査>


単純な清掃活動だけでは問題の解決に限界があります。大量にごみが堆積・漂着するエリアにおける流入メカニズムの調査を進めています。

荒川には大量のごみが堆積・漂着するエリアがありますが、このエリアの最上流部には、幅わずか1.5mぐらいの隙間が開いていて、ごみのほとんどがこの隙間から流れ込んできます。ごみが流れ込み溜まるのは困ったことではあるのですが、見方を変えればごみを効率的に回収するためにこのような構造が使えるのではないかといった発想もできます。このような構造を活用すれば、一度川に出てしまったごみをまた容易に集めることができるのではないかということです。絶望を希望に変えるようなお話でもあります。ところで実際どれぐらいのごみが入ってくるのかというと、定量的なデータではありませんが、ある一日の一潮汐、つまり満潮から干潮までの間、入口のところに網を張って調べたところでは自然系のごみを含め45リットルの袋で約9袋となりました。そしてこのうちの大体3割程度がプラスチックごみでした。


<荒川本流にある川ごみの発生源を探る調査>


その他、荒川本流に入ってくるごみがどこから来るのかの調査もしており、排水機場、ポンプ場などを対象に調べています。荒川本川に流入する川は、用排水路含め多数あります。どこから入ってくるのかをヒアリングしています。そこで分かってきたことですが、排水機場では取水口にスクリーンが設置してあることから瓶サイズより大きなサイズのごみは基本的に取り除かれているとのことで、排水機場などからのごみ流入の可能性は限定的なようです。では、荒川本川のごみはどこからくるのか・・・今後面白い結果が得られそうです。

4.川ごみの影響 生態系へのダメージ
<からみつき>


川ごみが自然界にどういう影響を与えるか。下図左上はくちばしに釣り糸が絡まってしまい口を開けないユリカモメです。このまま放っておけば餌を食べられませんので遠からずして衰弱死してしまうことが予想されます。右下はプラスチックの缶を一纏めにするリング状(左下の写真)の結束テープ(シックスパック)が幼体時にからんでしまったミシシッピアカミミガメで、胴部がくびれた状態で成長したものです。


<誤飲・誤食>


最近、より細かくなったマイクロプラスチックが、サンゴなどに取り込まれ、オーストラリア・グレートバリアリーフのサンゴ礁に危機が迫っている可能性について言及した論文がアクセプトされました。現在、日本国内においては生産されていないと聞いていますが洗顔剤や歯磨き粉にスクラブ剤とて使用されてマイクロビーズの影響も心配されます。

<生物濃縮/食物連鎖>


この他、プランクトンが有害物質を吸着したマイクロプラスチックを摂取し、そのプランクトンを魚が食べ、これをさらにより大きい魚が食べ、最後に鳥や私たちが食べていくという食物連鎖による生物濃縮が懸念されています。これらが動物やヒトにどんな影響を及ぼすかについては今のところまだ証明されていませんが、「予防原則」的な考え方も必要になってくるかもしれません。

5.荒川クリーンエイド・フォーラムの事業
<社会貢献・CSR活動>


私たちの活動を紹介させていただきます。社会貢献・CSR(Corporate Social Responsibility)に係る取り組みが主な活動となっています。過去、企業とソーシャルセクター(市民)とは、対立するものといった時代がありました。しかしながらNGOの台頭と市民の声の高まり、企業におけるCSR意識の浸透に伴い、今では協働の時代となりました。近年は、さらにCSV(Creating Shared Value)という概念も出てきていますが、私たちは主にCSRの部分で企業と連携した活動を進めています。


<荒川クリーンエイド参画団体>


図は荒川クリーンエイド参画団体の一例です。新入社員研修の一環として私どもの活動に参加するケースも最近は増えつつあります。多くの企業さんでは、工場や営業所近辺を清掃されておられますが、清掃活動の意義をお伝えすることでより積極的に取り組んでもらえれば本望です。外資系の企業さんに参加いただくこともあり、インターナショナルな雰囲気での取り組みもあり、私どもとしても楽しくサポートしています。


<ある企業さんの実施事例>


ある製造業さんの実施事例を紹介したいと思います。活動前には事前学習の機会を設け、川ごみ、海ごみ問題について学びます。その後、現場活動になります。プログラムの中には荒川にどんな生き物がいるかについても学ぶ内容も含まれています。清掃活動がどんな生き物に役立ったのか思いめぐらせてもらうのです。そして最後の「ふりかえり」の時間では、活動を通じて感じたことをグループ内で共有することで、多様な意見、発見があるということを知ってもらいます。「知識のインプット⇒実践活動⇒多面的な活動意義」というストーリー性があるプログラムとなっています。


<顧客であり、パートナーでもある>


NPO団体はサービス業です。しかし、環境NPOの中で、専従職員を1名以上置いて活動している団体は極わずかといった現状があることをご存知でしょうか?

私たちの活動への参加者は、顧客でもあり、パートナーでもあります。企業の皆さんには、活動の意義をご理解いただくことで、社会課題を解決するためのパートナーとして協働しているといった位置づけになります。

清掃活動にはいくばくかの費用が必要です。「ボランティア活動に費用が発生することが納得できない」といった意見をいただくこともあります。しかしながら私たちは「収益性にこだわることも大切だ」と思っています。これまでのボランティア活動には「free(無料)の弊害」があったのではないかと思います。時に、まったく無償で活動をされている団体の方から、私たちが対価(費用弁償分)をいただくことに対し反感を示されることがあります。しかしながら、無料を第一義とすると、ずっと特定の人に依存するということになって、特定の団体(個人)のみに負担が集中するということになりかねません。活動継続のためにはある程度の収益を確保することが必要です。私たちは24年間活動を続けてきましたが、収益性にこだわってきたことで、世代交代もでき、私のような若輩も”仕事としてこの活動に参画”できています。そういった意味ではこれからも収益性にこだわっていきたい。収益があれば人に投資できるので、活動が継続されます。慈善事業だといつか消えてしまうかもしれません。さらにいえば、対価をいただくことで自省できますし、外部からの厳しい意見をいただくこともできるようになります。クレームは最大の教科書です。

<プラスチックとどうつきあっていくべきなのか>


プラスチック問題を取り扱う中、拡大生産者責任が議論されることもありますが、「どんな良い道具も使うのは人」です。プラスチックの持つデメリットも含めて、それをどううまく使いこなすかは「人」に因ります。プラスチックの使い方やマネジメント(管理)をどうすべきかについては、ライフサイクルアセスメント(LCA)の考え方を含めて皆さんに正しく伝えていくというのがよいのではないでしょうか。

今後はCSV(Creating Shared Value)的な考え方で、共通価値を創造していければと願っています。税金や寄付を主な財源とした活動にも長い目で見れば限界があるでしょう。活動の継続性については今後も課題かと思っています。

<三方よし(売り手よし買い手よし世間よし)の教え>


松下電器産業(現・パナソニック)創業者の松下幸之助さんは「企業は社会の公器」としての経営哲学をもって会社を大きくしつつ社会に貢献されました。私が海外で仕事をしている時、そこで出会った世界を股にかける日本のビジネスマンの多くが、性善説で仕事ができるのは日本の企業だけだとよく言っていました。日本人はモラルが高く、三方よしの考え方、「売り手よし買い手よし世間よし」が身についており、社会的な責任を感じながら自らの仕事に取り組んでおられる方が多いようです。社会企業である私たちNPOができることはそういった皆さんと「協働すること」、「知をもって社会に貢献する」部分であり、「現場の状況をよりリアルに伝えること」を担っていきたいと思っています。荒川クリーンエイド・フォーラムでは、プラスチック勉強会も始めました。プラスチックを長年研究してきた東京海洋大学名誉教授の兼廣春之先生から「プラスチック問題の背景を探る」等のタイトルで月1回の学習会を実施しています。

<Pro bono受入れ>


NPOは社会課題に直接対面していることが多い業種です。Pro bonoという社会貢献活動の一環として、荒川クリーンエイド・フォーラムと企業が連携したプロボノプロジェクトの試みも増えてきています。

<Do it with Joy!>


我々は様々な活動をとにかく楽しくやっていきたいと思っています。下の写真は足立区の河川敷に多量のごみが漂着・堆積しているエリアですが、ふるさと清掃運動会と連携して800人で清掃したときのものです。スタッフにとっては大変な作業でしたが、大人数で楽しく活動というのも大切な要素です。


<世界の挑戦>


次にごみ回収に係る世界の挑戦事例を紹介します。海ごみを回収する施設をオランダの高校生が発案し、TEDxでプレゼンテーションをして約2億円を集めて挑戦した事例があります。表層に浮かぶ海ごみ(プラスチックごみ)を回収し、乾かし、再利用する仕組みで運用資金を稼ぐというものです。

<順応的管理の必要性(アダプティブマネジメント)>


前述の施設には、期待の一方で実は問題もあります。ごみ回収の際、表層の生き物、卵などを回収してしまい、生態系に悪影響があるのではないかとの懸念です。私たちが活動をするときに気をつけねばならない教訓として、「順応的管理(アダプティブマネジメント)」というものがあります。時として私たちの活動というものは歯車が回りだしてしまうと、止まらない、止められないといったことがあります。モニタリングによる把握と必要に応じた軌道修正が常にできるような形で、柔軟にやっていくことも大切です。

<ROCKCORPS>


「楽しくやる」ということに関連して、最近、4時間のボランティアで音楽フェスに無料で参加できるという取り組みに参画しています(スポンサー企業JT)。皆さんもよろしければ、息子さん、娘さんと参加してはいかがでしょう。


<荒川クリーンエイド・フォーラムを応援していただけませんか?>


荒川クリーンエイド・フォーラムには「あらくりくん」というトビハゼをモデルとした公式キャラクターがいます。若手スタッフがLINEスタンプを作りました。去年から世界中に向けて販売しています。私たちの活動には年間で1.3万人くらいが参加しますので、かなり売れるのでは!?と期待したのですが、まだ世界で50人しか使ってもらっていません(笑)。「どこでもあらくりくん」で検索すると出てきますのでよろしければ購入をご検討ください。収益は活動財源として活用させていただきます。買い方が分からない方は、息子さん、娘さん、あるいは若い社員の方に「これどうやって買うの」と聞いて、コミュニケーションを図るきっかけにしていただければと思います。


<Think Globally  Act Locally>


“Think Globally Act Locally”とは、「地球規模で考え、地域(足元)から行動せよ」という意味で、まさにこれは川ごみの話ではないかと思い、このタイトルにしました。ごみを拾うだけでは社会は変わらないけれど、ごみを拾わないと社会は変えられないのです。拾ってもすぐには変えられないけど、拾わないと何も変えられないのです。拾い続けていると、いつか社会は変えられるかもしれません。社会を変えるという大きな目標を掲げて、地域の活動を続けていくのが大事なのではないかと思います。

以上で私の話は終わりです。ありがとうございました。

※ここまでの本文に掲載の図、表、写真等はすべて今村様が作成された資料を使用させていただいております。

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