2012.05.15

2012年5月掲載 夏でも滑れるプラスチック製スケートリンク

2012年5月掲載 夏でも滑れるプラスチック製スケートリンク

夏でも滑れるプラスチック製スケートリンク

スケートリンク

スケートリンクと言えば、氷でできたリンクが当たり前で、転ぶと冷たいと思っていませんか? ところが、最近はプラスチックでできたスケートリンクが各地に出現しています。

静岡県御殿場のリゾート施設「時の栖(すみか)」にあるスワンレイクスケート場は、スペインで開発された「エクストラアイス」を用いた30m×60mのプラスチックスケートリンクで、2008年に常設リンクとしてオープンしました。

「エクストラアイス」は、長さ1.966m×幅0.966m×厚さ20mm、重さ約38kgのプラスチックパネルです。専用の滑走ワックスを塗ると、本物の氷に近い滑りが可能で、スピードスケート、アイスホッケーに使用でき、パネルの枚数により、アイスホッケーのハンドリング練習などとしても使えます。本製品を使ったリンクは、スペインのほかスゥエーデン、ギリシャ、アラブ首長国連邦など世界各国にあり、日本では三菱樹脂の子会社、株式会社アストロが販売しています。

 

一方、アメリカ、グローバル・シンセテック・アイス社製のポリエチレン系プラスチックパネル「スーパーグライド」を輸入しているのは、伊藤忠建材です。アメリカでは25年以上前からアイスホッケーの練習用に使用されてきたもので、液体ワックスを噴霧して、専用のスケート靴で滑ります。

このパネルを使ったのが、名古屋市の複合施設オアシス21で、2009年11月~2010年2月まで、「トヨタホームリンク」です。期間限定でしたが、子どもたちの人気を集めました。また、富山市のグランドプラザにも、街中で気軽にスケートが楽しめる名所として、このパネルを使用した「エコリンク」が冬になると登場します。2012年1月には、1万人目の入場者に記念品が手渡されました。

 

プラスチックのスケートリンクは、氷のリンクと比べ、氷を冷やす電力が不要で、維持費を削減でき、他の施設との共用もしやすいことから、今後も注目を集めそうです。

株式会社アストロ http://www.astrocorp.co.jp/home.html
伊藤忠建材株式会社 http://www.ick.co.jp/

昭和電工のプラスチックリサイクル(アンモニア原料化)技術が「低CO2川崎パイロットブランド事業」として表彰される

授賞式

神奈川県川崎市は、低炭素社会のものづくりを応援するために、ライフサイクル全体でCO2削減に貢献している製品や技術などを「低CO2川崎パイロットブランド」として評価する制度を、2009(平成21)年度から開始しています。2011年度は製品・技術部門で7件を低CO2川崎パイロットブランドとして選定し、サービス部門で1 件、市民活動部門で1 件を奨励賞としました。

パイロットブランドロゴ

プラスチックリサイクル関連では、昭和電工株式会社川崎事業部の「使用済みプラスチックを原料としたアンモニア『ECOANN (R)』」が低CO2川崎パイロットブランドに選定され、2012年2月10日の「川崎国際環境展」で表彰されました。この技術は、家庭から排出された使用済みプラスチックを熱分解してガス化、そのガスをアンモニアの原料として利用するというもので、プラスチックのケミカル・リサイクルの一方法です(本サイト特集でも紹介)。

この技術は、従来のアンモニア製造方法と比較して51%のCO2排出量削減ができること、また、材料調達段階ではCO2排出量が増加するが、生産、廃棄・リサイクル段階では大きく削減し、ライフサイクル全体でCO2排出量を削減するとして、評価されました。

昭和電工は、これと同時に、今回、余剰麻酔ガス処理システム「アネスクリーン」も低CO2川崎パイロットブランドに選ばれており、二つの技術が表彰されました。

なお、選定された製品・技術は、川崎市発信の環境技術として各環境展のブースで紹介されるなどの特典があります。

低CO2川崎ブランド事業 http://www.k-co2brand.com/index.html

環境省が2010年度の「一般廃棄物の排出および処理状況等」を発表

一般廃棄物の排出および処理状況等の表

環境省が2012年3月23日、「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成22年度)について」を発表しました。

これによると、2010(平成22)年度の全国の一般廃棄物の総排出量、1人1日当たりのごみ排出量は、ともに減少し、ごみ総排出量 4,536 万t(東京ドーム約122杯分、前年度比1.9 %減)、1人1日当たりのごみ排出量 976g(前年度比1.8 %減)となりました。

ごみの総処理量は4,279万tで、焼却、破砕・選別等により中間処理された量(中間処理量)は3,996万t、再生業者等へ直接搬入された量(直接資源化量)は217万tです。

 

2010年度の市区町村等による資源化は672万tで、ペットボトル、白色トレイ、容器包装プラ、製品プラの合計で全体の15%を占め、住民団体等による集団回収で資源化された273万tのうち、プラスチック類は全体の0.3%になります。市区町村等による資源化と住民団体等による集団回収とを合わせた総資源化量は945万tで、リサイクル率は20.8%となりました。総資源化量は前年より減少しましたが、ごみの総排出量も減少しているためリサイクル率は0.3ポイントの微増となったものです。

詳細は環境省HPを参照 http://www.env.go.jp/

英国ガーディアン紙にも載った日本のプラスチックリサイクル状況 ~プラスチック処理促進協会が2010年のフロー図を公表~

社団法人 プラスチック処理促進協会は、2011年12月、日本のプラスチックの生産から処理までの統計をまとめた「2010年 プラスチック再資源化フロー図」を公表しました。これは当協会が毎年公表しているものです。今回から産業廃棄物の焼却量と埋め立て量の推算方法を、一般廃棄物の推算方法と統一し、「新推算方法」を採用するなど、推算方法の見直しがありました。これは、出来るだけ、統計を実態に近づけるための見直しです。

 

2010年の廃プラスチックの有効利用率は、前年より2ポイント上がり、77%となりました。エコポイント制度や地上デジタル化を前にした家電製品の売れ行き増加があり、家電のリサイクル量が伸び、マテリアルリサイクルの量・率が増加したためです。

 

2010年は、リーマンショックの影響を受けた2009年と比べ、国内の樹脂生産量がプラス13.2%と回復しつつありますが、2008年、2007年と比較するとまだマイナスの状態であることもわかりました。
フロー図は「2010年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」に掲載。(http://www2.pwmi.or.jp/siryo/panfu/panfu_index.htm
一方、2010年版のフロー図公表後、英国ガーディアン紙の記者が当協会を取材し、同紙に12月29日付けで「世界のプラスチック・リサイクルレースを先導する日本」とする記事が掲載されました。

 

記事では、日本の有効利用率77%は英国の2倍、アメリカより20ポイント高いとして、その理由について、当協会のコメント「容器包装リサイクル法の制定とその後の自治体による分別回収の成功や企業の協力がある」を取り上げています。また、PETボトルのリサイクル率72%(2010年)がヨーロッパ48%、アメリカ29%と比べ高く、「PET to PET」(ペットボトルからペットボトルを再生)技術が実用化されていることにも触れています。