2008.02.16

2008年2月の掲載 「材料リサイクル(マテリアルリサイクル)」は本当に優れているのか? 日本容器包装リサイクル協会が環境負荷の検討結果発表 プラスチック処理促進協会も検討委員会に参画

2008年2月の掲載 「材料リサイクル(マテリアルリサイクル)」は本当に優れているのか? 日本容器包装リサイクル協会が環境負荷の検討結果発表 プラスチック処理促進協会も検討委員会に参画

「材料リサイクル(マテリアルリサイクル)」は本当に優れているのか? 日本容器包装リサイクル協会が環境負荷の検討結果発表 プラスチック処理促進協会も検討委員会に参画

石炭削減効果

二酸化炭素削減効果/石炭削減効果

天然ガス削減効果

二酸化炭素削減効果/天然ガス削減効果

原油削減効果

二酸化炭素削減効果/原油削減効果

容器包装リサイクル法(容リ法)では、プラスチック製容器包装の再商品化手法として材料リサイクル(マテリアルリサイクル)と4つのケミカルリサイクルの手法および固形燃料等が認められています。そのなかで、「材料リサイクルをその他の手法に比べ一定の条件下で優先的に取り扱う」と位置づけられているため、材料リサイクルの比率は約50%に上昇しています。

 

しかし、再商品化における費用対効果や品質の改善、環境負荷の低減、技術の多様性確保などを考えたとき、「材料リサイクル優先」でよいのか、という議論がしばしば出ていました。

 

そんななかで、(財)日本容器包装リサイクル協会は「プラスチック製容器包装再商品化に関する環境負荷等検討委員会」を設置し、エネルギー(資源)消費量、二酸化炭素排出量等の環境負荷削減効果について検討した結果を2007年6月に報告しています。

 

これによると、どのリサイクル手法でもエネルギー資源消費量、二酸化炭素排出量、SOx排出量、NOx 排出量については削減効果があることがわかりましたが、材料リサイクル手法が特段優れているとはいえないということが明らかになりました。資源節約という点から見ると、手法ごとに節約できる資源が異なり、石炭を主に節約するのはRPF、セメント焼成、高炉原料化、原油の節約効果で見るとコークス炉、天然ガスの節約効果はガス化が優れているという結果で、材料リサイクルでは再商品化後に何に利用されるかによって、ばらつきがあることがわかりました。

 

なお、検討委員会にはプラスチック処理促進協会も事務局として参画しました。

詳細:(財)日本容器包装リサイクル協会

家電リサイクル法見直しで報告書案出る 経済産業省と環境省が合同で作成

2001年に施行された家電リサイクル法は5年後に制度を見直すことになっていましたが、環境省の中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会の共同専門部会は、2007年12月10日、報告書案をまとめました。

 

これによると、リサイクル料金はこれまで通り後払い方式を維持すること、対象品目に薄型(液晶・プラズマ)テレビと、衣類乾燥機を追加することが提案されました。

 

家電リサイクルについては、一部家電量販店が客からリサイクル料を受け取って引き取った廃家電を、メーカーに引き渡して家電リサイクル法の回収ルートに乗せずに、中古品販売店などに横流しするなど不適切な処理が相次いで表面化しました。そのため、不法投棄を防ぐ目的であっても、前払い方式では消費者の理解が得られないという意見が多く出ました。そのため、(1)小売業者に対し、消費者から引き取ったすべての廃家電の引渡し先の記録・報告を義務付ける、(2)小売業者がリサイクルに回すか再利用に回すかを判断するためのガイドラインを策定することなど、廃家電の行方をチェックするシステム作りが提案されています。

 

参考資料:読売新聞(2007.12.11)

日本の家電メーカー、アメリカで家電リサイクルへの取り組みを開始 ソニーに続き、松下電器産業、シャープ、東芝も合同出資会社設立

日本のような統一的な家電リサイクルシステムがないアメリカでは、廃家電の回収・リサイクルは始まったばかりです。その中で、日本の企業が家電リサイクルへの取り組みを始めました。

 

2007年9月15日からソニーがリサイクル業者の米Waste Management(WM)と共同でリサイクルプログラムを開始しています。最初のプログラムではWMの回収センター75カ所でソニーの中古家電(全製品が対象)の回収が始まりました。他社製品のリサイクルも有償で受けています。ソニーは1年間で米国の全州をカバーし、センターの数を少なくとも150カ所まで増やす計画です。

 

続いて、08年1月6日には、松下電器産業、シャープ、東芝が共同で、米国での家電リサイクルに取り組むと発表しました。3社が出資して首都ワシントンにリサイクル会社、エレクトロニック・マニュファクチャラーズ・リサイクリング・マネジメント・カンパニー(MRM)を設立し、まずミネソタ州で回収・再生事業を始めるということです。対象製品はテレビやノートパソコンを中心に、ステレオやプリンターなど家電・情報機器全般で、現地のリサイクル会社と契約して無償で事業を行います。日立製作所や日本ビクター、三菱、フィリップス、パイオニアなど日米欧の7社もこの事業会社にリサイクル活動を委託する計画があり、MRMは2009年中には他の州にも事業を拡大するとしています。

 

アメリカでは2005年に使用済み家電製品は190万t~220万tに達しているのに対し、リサイクルされたのは35万t前後とほんの一部。一方、家電リサイクル法はカリフォルニア、ミネソタなど4州にしかありません。法律ではメーカーに回収・再利用を義務付けるケースが多く、ミネソタ州でも2007年にメーカーに対して自社製廃家電の処理を義務づける法律が制定されました。現在は約35州が家電リサイクル法を検討中ですが、全米家電協会(CEA)は、州ごとに規制するのではなく米国全体で立法するよう運動しているということです。

参考資料:日経新聞(2008.1.7)、化学工業日報(2008.1.9)

透明回収箱でリサイクル促進 日本コカ・コーラ

透明なゴミ箱

日本コカ・コーラは、2007年7月から、イベント会場で「リサイクルステーション」の設置を行っています。これは、飲み終えた容器を素材ごとに分類して回収する透明のボックスと、リサイクルの仕組みをわかりやすく説明したパネルの集合キットです。ペットボトルの場合、本体、ラベル、キャップに分別して回収されます。同社運営の環境イベントのほか、主催や協賛、製品提供などでかかわるさまざまなイベントの会場に設置することで、イベントに参加する幅広い層の人たちにリサイクルの仕組みと方法を理解してもらい、実際に体験してもらうことを目的にしています。

コカ・コーラの自動販売機には、空き缶やペットボトルの回収ボックスが付近に併設されており、そこで回収した容器はリサイクル回収されています。しかし近年、この回収ボックスに紙おむつなどの家庭ごみやペットのふんなど異物が投げ込まれていることが多く、リサイクルの促進の妨げになっているばかりか、その処理に年間数億円の費用がかかっていました。そこで同社は、環境問題に取り組む東京大学のサークル「環境三四郎」と協働で、新宿駅周辺(2006年9月)と渋谷駅周辺(2007年4月)で、自販機脇に設置された容器回収ボックスの実態を調べるとともに、インターネットで回収ボックスやリサイクルについての消費者の意識調査を行いました。

 

こうした取り組みから、「消費者に対しては、リサイクルの重要性についての意識啓発を、できる限り多くの機会を活用して継続的に行っていくことが大切である」と結論づけ、実践可能な具体的取組みの1つとして、「リサイクルステーション」の開発と設置を推進することになりました。

詳細:日本コカ・コーラ株式会社

ペットボトル自動回収機、改良により使用再開

東京都足立区が、「あだちエコネット事業」の一環として、区内スーパーマーケットでポイントがたまるペットボトル自動回収機(RVM)を活用していることは、以前のこのコーナーでお伝えしました。

 

ところが、昨年11月、同区内の自動回収機を利用した後、区立小学校5年生の男児の目にペットボトルの破片と思われる異物が刺さるという事故が発生し、区は全28ヵ所の自動回収機を使用中止にしました。その後、区はメーカー(本社:ノルウェー)に対して事故原因の究明と対策を求める一方、事実関係を調査、検討。事故原因が機械にあったとは考えられないという結論を得たうえ、メーカーが機械に改良を加えて12月3日から使用を再開しています。

 

メーカーは、約7000本の破砕試験を実施し、投入口からの破砕片・破砕屑は皆無であることを確認したほか、(1)ペットボトルの破砕片・破砕屑が、自動回収機を利用中に、直接利用者まで飛ばされる可能性は極めて低い、(2)ペットボトルの破砕片・破砕屑が、袋の交換などの作業中に周囲に散乱することはある、(3)世界に6万台の設置実績等で利用者の怪我の報告は皆無であるなどの調査結果をまとめました。また、機械の安全性には問題がないと判断したものの、今後の事故・怪我に関し、万全を期するため、自動回収機に追加的対策を講じることにしたとのことです。

 

改良の内容は、予防措置と追加措置です。予防措置としては、(1)目に入るような小さな破砕屑が、投入口から外部に出ていかないよう、投入口から機械内部への空気の流れを作るため、機械背面のファンを機械の稼動中に常時作動させるようにし、(2)その効果を上げるため、上部・下部ドアの密閉性を高めるシールを取り付けました。追加措置(使用再開後の12月10日から18日にかけて作業を実施)としては、機械内部の各装置間(認識装置、選別装置、破砕部等)の仕切り板を増やすなどして、破砕片等の移動を防止するというものです。

区では、「区民の皆様に安心してお使いいただくために、より安全性を高めるための改良を行いました。エコネット事業は引き続き進めていきます」と話しています。

CDなどの記録媒体をリサイクル回収 東京都台東区

ゴミ箱に捨てている様子

東京都台東区では、家庭から排出されるCDやDVDなどの記録媒体を、2006年10月より、リサイクル資源として回収しています。

同区は以前から、区の施設等で紙パック、乾電池、空き缶、廃食油、古布を拠点回収してきましたが、これに加え、区内15カ所の拠点に「ビデオテープ類回収ボックス」を設置しました。回収された記録媒体は、データ消去とリサイクル技術を持つ民間企業(オリエント測器コンピュータ、大阪市)に委託して情報を消去した後、割られていないCDやDVDはリサイクルCDやDVDに再生します。その他のものは、金属やプラスチックなど資源別に分けてマテリアルリサイクルされます。

 

回収の対象となるのは、CDやDVDのほか、ビデオテープ、カセットテープ、フロッピーディスク、MD(ミニディスク)、MO(光磁気ディスク)で、ケースごと回収しています。回収は順調で、特にビデオテープの回収量が予想よりも多いということです。

 

詳細:台東区

歌と踊りでゴミ減量を呼びかけ 東京都目黒区

撮影かっぽう着隊

東京都目黒区は、買い物のときに留意したいポイントを歌詞に盛り込んだ歌「ごみごみ あ!ミーゴ」を制作し、ゴミ減量のよびかけに活用しています。これは、2006年3月に策定した「めぐろ買い物ルール」を、もっと区民に知ってもらおうと企画されたもので、「すてれば、ごーみ!つかえば、みーご!」「かいものするとき ふくろをもって」などの歌詞がリズミカルなメロディにのせられ、簡単な踊りの振りがつけられています。

作詞作曲は、廃品を利用したオリジナル楽器づくりで知られる区内在住のアーティスト、山口ともさん。区は、一斗缶などを使ったユニークなコスチュームの山口さんが区内のさまざまな場所で「ごみごみ あ!ミーゴ」を踊りながら歌うビデオクリップを作成し、区のホームページで紹介するほか、DVDを幼稚園や小学校に配布してPRしています。「リズミカルで覚えやすい歌と振り付けです。子どもをはじめみんなで楽しんでもらいながら、ゴミ減量の意識を高めていきたい」(ごみ減量課)。

詳細:目黒区

ペットボトルのふた分別回収で 発展途上国の子にワクチン1万1800人分寄付

神奈川県横浜市にあるエコキャップ推進協会(2007年8月設立、NPO法人の認定申請中)は、ペットボトルのふたを分別回収してリサイクル業者に売却し、発展途上国の子どもたちに届けるポリオワクチンなどの購入資金として寄附しています。

 

同協会には、設立後約4カ月の間に全国504の個人、企業、学校、団体などから約944万個のペットボトルのふたが寄せられ、それらの売却益23万6060円が、2007年12月21日、NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)に寄附されました。ポリオワクチン1万1800人分が購入できる金額です。また、回収されず一般ゴミとして焼却処分された場合に発生した二酸化炭素(CO2)約74トンの削減にも貢献しました。

 

ペットボトルの再資源化には、ふたやラベルをはがして回収することが重要ですが、外したふたを一般ゴミとして焼却したのではリサイクル資源にならないだけでなく、CO2の発生源になってしまいます。ふたを分別回収することで、ペットボトルの再資源化を促進、CO2の削減(地球温暖化防止)に貢献、途上国の子どもへの援助という一石三鳥の運動になったわけです。 ペットボトルのふた800個で、一人分のポリオワクチン(20円)が購入できます。同協会は今後もこの運動を続けていくと話しています。

詳細:エコキャップ推進協会

新幹線新車両N700系は窓をプラスチックにして軽量化 帝人化成の特殊ポリカーボネート「パンライト」を使用

新幹線

N700の全景

新幹線の窓

N700の窓

東海道・山陽新幹線に2007年7月から導入されたN700系新車両はパソコンモバイル用コンセントが完備されるなど、車両全体がグレードアップされ、人気を呼んでいます。しかし、N700系のいちばんの特徴は、開発の主目的であったスピードアップと省エネです。ここにプラスチックが貢献しています。

 

N700系では従来のガラス窓をプラスチックに換えたことで、窓だけでも約3割の軽量化が実現されました。この窓に使われているのは帝人化成の特殊ポリカーボネート「パンライト」という素材です。

 

これまでも新幹線の窓は飛び石などに対する耐久性が必要なため、2層ガラスの表面にプラスチック樹脂のシートが貼られていました。これに対し、N700系ではこれまでと同等以上の耐久性がある1枚の厚いプラスチックが使われています。また、世界最大級の4軸平行制御の超大型噴出プレス成形機で成形することにより、厚さを一定にし、表面のひずみをなくして車窓からの景色にゆがみが出ないよう工夫されています。さらにガラス窓では車体より窓が薄かったため、車体の凹凸が走行時の騒音源となっていましたが、このプラスチックでは車体と窓の厚みがそろえられたため、走行時の防音も軽減できました。

 

N700系には普通席車両のシート材として、背もたれ部分に同社の高機能クッション材も採用され、こちらも、これまでのウレタンタイプと比較して約20%の軽量化を実現しています。

 

どちらもリサイクルしやすいということが採用の一因になっているようです。

詳細:帝人化成