同報告書によると、04年度を基準年とした18年度「指定PETボトル」については、全体での軽量化率(表1)が23.6%、削減効果量が19.0万tとなりました(図1)。軽量化率は前年度比では△0.3ポイントと若干の落ち込みとなりましたが、軽量化への取り組みが地道に進められていることがわかります。近年の成形技術・充填技術の進展によるPETボトルの軽量化は目覚ましいものがあり、例えば清涼飲料PETボトルでみると、2004年度に比べ、主要な用途・容器サイズ計17種で3~40%の軽量化が実現しています。
表1 軽量化率算定方法
軽量化に係る指定PETボトル・主要17種の目標と18年度実績は図2のとおりで、17種中7種(清涼飲料《耐熱》の500 ml、1,500 ml、2,000 ml、同《無菌》の500 ml、酒類の4,000 ml、みりんの1,000 ml、しょうゆ加工品の500 ml)については2020年度軽量化目標達成済であり、残る10種も達成に向けた取り組みが着実に進められています。報告書では大手醤油メーカーの軽量化の具体例も紹介されており、これをみると各製品とも従来品に比べ1~2割の重量軽減を実現していることがわかります。
軽量化に係る指定PETボトル・主要17種の目標と18年度実績は図2のとおりで、17種中7種(清涼飲料《耐熱》の500 ml、1,500 ml、2,000 ml、同《無菌》の500 ml、酒類の4,000 ml、みりんの1,000 ml、しょうゆ加工品の500 ml)については2020年度軽量化目標達成済であり、残る10種も達成に向けた取り組みが着実に進められています。報告書では大手醤油メーカーの軽量化の具体例も紹介されており、これをみると各製品とも従来品に比べ1~2割の重量軽減を実現していることがわかります。
表2 基準年度(2004年度)と2018年度の環境負荷(CO2排出量)比較
図3 清涼飲料用PETボトルの出荷本数とその環境負荷(CO2排出量)の推移(2004~18年度)
一方リサイクル率については、指定PETボトル販売量が前年度比3.8万t増の62.6万tであったのに対しリサイクル量が前年度比3.1万t増の52.9万tであったため、前年度比3ポイント減の84.6%と、第3次自主行動計画目標「85%以上維持」をわずかながら達成することができませんでした。しかしながらこの数値は、依然欧米をはるかに凌駕する世界最高水準にあることに変わりなく、我が国のPETボトルリサイクル意識の高さを改めて確認することができます(図4、5、6)。
図4 回収・リサイクルの概要(2018年度)
図5 国内再資源化と海外資源化(2009~18年度)
図6 日米欧のPETボトルリサイクル率の推移(2009~18年度)
2018年度回収量68.4万t中、市町村回収は30.2万tでしたが、そのうち21.1万tが公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人)に引き渡され、残る9.0万tが指定法人以外の独自処理となりました(独自処理率30%)(図7)。
図7 指定法人引き渡し量および独自処理量の推移(2009~18年度)
一方使用済PETボトルの輸出については、17年末からの中国政府による廃プラ等禁輸措置の本格化に伴う影響が憂慮されていましたが、18年度については、21.1万t(フレーク状品16.2万t、ベール品4.9万t)と前年度比2.6万tの減少にとどまりました(図8)。これは、フレーク状のものについては中国向けが大幅減となる一方でマレーシア、韓国、ベトナム、台湾、インドネシアなど中国以外のアジア諸国への輸出が増加したこと、またベール品についても中国向けに代わり、台湾、インドネシアなどへの輸出が増えたことによります(表4、5)。
このように18年度については、中国から周辺アジア諸国への輸出先のシフトがみられましたが、これらシフト先のアジア諸国でも中国同様の廃プラスチック輸入規制の動きが強まりつつあること、またバーゼル法改正に伴う廃プラスチック移動規制の強化の動きもみられることから、廃PETボトルの輸出については、今後さらに一段の動きが出てくるものと思料されます。
図8 使用済PETボトルの形態別輸出量推移(2009~18年度)
表4 フレーク状のもの 主な国別輸出量(2017、18年度)
表5 ベール品 主な国別輸出量 (2017、18年度)
報告書では、国内向け再生PET樹脂が何に、どれだけ利用されているかについての調査結果も示されています。18年度では27.6万tまで調査することができました。主な用途は、シートが13.2万t(前年度比+1.4万t)、ボトル to ボトル(B to B)による指定PETボトルが7.3万t(前年度比+1.1万t)、繊維が5.9万t(前年度比△0.5万t)となっています。このうちB to Bによる指定PETボトルへの利用については、循環型リサイクルの代表として、今後さらなる伸長が見込まれるとしています(表6、図9)。
表6 2018年度具体的製品例と利用量(調査結果)(2017、18)
図9 2018年度使用済みPETボトルの回収/再商品化の流れ
リユースについてはどうでしょうか。このことについて報告書では、①安全性の問題(リターナブルPETボトルは予期せぬ汚染があった場合、PETボトルに吸着された汚染物質をボトル状態での洗浄技術・検査技術では100%除去することは困難であること)、②環境負荷の問題(リターナブルPETボトルが、ワンウェイPETボトルより環境負荷が小さくなるのは、空ボトル回収率が90%以上で、販売拠点から工場までの返送距離が100㎞未満という非常に限られた条件下のみであること)などから、リユースは難しいとする判断に変わりはないとしています。
更に報告書では、2016年度データを用いた場合の環境負荷の側面からみたリサイクル効果評価についても触れています。それによると、日本で利用されている指定PETボトルの、「リサイクル・再利用あり」の場合の資源採掘から生産・利用・回収・リサイクル・再利用(利用不可物の廃棄処理を含む)までのCO2総排出量は210万tであり、「リサイクル・再利用なし」とした場合のCO2総排出量358万tに対して、約41%の削減効果があったとしています(図10、表7)。リサイクル・再利用を進めることでCO2排出量を148万t抑えることができたということになります。
図11 排出量削減効果(2018年度)
表7 2016年度基本データ
報告書では、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指すという新しい目標を設定して、未確認量の調査や有効利用率の試算もしています。この他にも、分別排出からはじまるPETボトルリサイクルの流れ、PET樹脂のマテリアルフロー図、PETボトルとリサイクルの歴史、海洋プラスチックごみ問題への取り組み、海外調査報告など、様々な役に立つ情報が盛り込まれています。
※「PETボトルリサイクル年次報告書2019」は、推進協議会のホームページからダウンロードできます。