事業内容

LCA(ライフサイクルアセスメント)

LCA(ライフサイクルアセスメント)の
基礎データ提供と評価

今や生活に欠かせない存在となっているプラスチック。当協会では、地球環境にできるだけ負荷をかけない形でプラスチックを扱えるよう、環境への負荷に対する判断を「客観的な根拠」で示す考え方であるLCA(ライフサイクルアセスメント)が重要だと捉え、LCAの基礎データ提供と評価を実施しています。プラスチックは今や生活に欠かせない存在となっています。当協会では、地球環境にできるだけ負荷をかけないようにプラスチックを適切に使うため、環境への負荷に対する判断を「客観的な根拠」で示す考え方であるLCAの基礎データ提供と評価を行っています。

LCAとは

資源採取から廃棄にいたるまでの製品(あるいはサービス、システム等)の全過程(ライフサイクル)における環境負荷を科学的、定量的、客観的に総合評価する手法です。これをプラスチック製品について考えてみれば、その大元である原油は、地中から採掘され、パイプラインで積出港に送られ、そしてタンカーで日本に運ばれてきます。日本に着いた原油は石油会社の精留プラントで石油製品になりますが、このうちのナフサが分解、重合の工程を経てポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等になり、これがプラスチック製品の原料となります。製造されたプラスチック製品は、市場に送りこまれ、使用され、使命を終えれば廃棄されます。廃棄されたプラスチック製品は、あるものはリサイクルされ、燃やされ、あるいは埋め立てられます。これがプラスチック製品のライフサイクルであり、フローで示すと次のようになります。
原油採掘⇒(運搬)⇒石油精製⇒(運搬)⇒プラスチック原料(ペレット)製造⇒(運搬)⇒プラスチック製品製造(プラスチック原料加工)⇒(運搬)⇒プラスチック製品使用・廃棄⇒(運搬)⇒最終処分(リサイクル、焼却、埋立)

LCAの概念

LCAの概念

LCAでリサイクルを考える

リサイクル手法を評価するには、まずモノサシを揃えなければなりません。例えば、マテリアルリサイクルでバケツを作ることと、ケミカルリサイクルで衣類を作ることを比較して、どちらがより良いリサイクル手法かを比較しても意味がありません。バケツと衣類は異なるプロセスを経てつくられ、用途や役割が違うものであって、これを単純に比べることはできないからです。リサイクルの成果物でリサイクル手法の評価をしてはならないのです。しかし、ある手法でリサイクルしたときに、それをしなかった場合と比べてどれだけ環境負荷を低減させることができたかを比較することは可能です。例えばリサイクルをせずに処分した場合、 CO2排出量が1tであるときに、Aのリサイクル手法なら0.5tまで、Bのリサイクル手法なら0.3tまでCO2排出量を削減できたとすると、リサイクル手法としてはBの方が優れているということになります。
リサイクルする場合・しない場合の環境負荷計算にあたっては、LCAの手法が有効です。廃プラスチックとして排出されてから、リサイクルされ、再生品が使われ、そして再び廃棄されるまでについて、それぞれの工程の環境負荷を算出していきます。例えばCO2の環境負荷について考えてみると次のようになります。

リサイクル

それぞれの工程でCO2が発生しますので、これらを合算したものが、CO2についてのリサイクルに係る環境負荷ということになります。他方、「リサイクルしない」を選択した場合はどうでしょうか。ここで間違いやすいのは、「リサイクルしない」場合を「廃棄処分」のみであるとしてしまうことです。そうするとCO2発生量が極端に少なくなり、「リサイクルしない」ことが一番「エコ」であるということになってしまいます。本当にそうでしょうか。実はこの前提には大きな誤りがあります。再生品が作られるということは、その分新品が作られずに済んだということです。リサイクルせずに廃棄処分とするなら、マテリアルリサイル品でつくられたものと同じ機能のものを新品で作らねばなりません。

リサイクル

すなわち、「リサイクルしない」を選んだ場合は、廃棄処分のCO2発生量に加えて、新品に係る資源(原油)の採取、ナフサの精製、樹脂原料ペレットの製造、樹脂原料ペレットの加工、パレットの製造、パレットの使用、廃棄処分までの各工程におけるCO2発生量も合算しなければならないのです。「リサイクルする・しない」のどちらが「エコ」なのかの判断はそのうえで行う必要があります。