韓国のプラスチック製容器包装のリサイクル最新動向
2015年6月掲載

1、はじめに

アジアをはじめ多くの国で家庭から出るごみは殆ど分別されずに埋め立てられている中で、日本、韓国、台湾ではそれぞれ特徴あるリサイクルの仕組みが整えられている。

このうち韓国については、プラスチック製容器包装の分別と処理にかかる2013年5月の「資源の節約と再活用促進に関する法律」改正で、制度や分離排出表示が変更されたが、このことはあまり知られていない。
今回(2015年3月)韓国循環資源流通支援センター(KORA)の協力を得て現地調査を行ったので、その結果を報告する。

2、韓国の材質表示

韓国は2011年1月、プラスチック製容器包装の分離排出表示(識別表示マーク)を「ペット」「プラスチック」「비닐류(ビニール)」(△マークの中にハングル文字で記載)の3種類とし、HDPE,PP,PS等の材質表示は「プラスチック」と「비닐류(ビニール)」の下に付けることにした。(図1)

ここで注意すべきは「비닐류(ビニール)」とは、プラスチック製フィルム類のことで、このような表現をするのは、世界では日本と韓国のみである。図中のOTHERの意味は2種類以上のプラスチックを使用したラミネートを指すが、韓国でも環境配慮設計やリデュースからOTHERの割合が増加しているという。

図1 韓国の合成樹脂の分離排出表示(改正施行日:2011年1月)
図1 韓国の合成樹脂の分離排出表示(2011年1月改正施行)
上から、「ペット」、「プラスチック」、「비닐류(ビニール)」
(KORA資料より)

図2 改正前のプラスチック分別排出マーク(PETを含めて7種類)
図2 改正前のプラスチック分別排出表示(PETを含めて7種類)
(KORA資料より)

3、韓国循環資源流通支援センター(KORA)

2013年5月の「資源の節約と再活用促進に関する法律」改正により、これまで包装材再活用事業を担当していた 6つのEPR協会が統廃合され、韓国包装材再活用事業共済組合(共済組合)及び韓国循環資源流通支援センター(KORA)が設立された。

これにあわせ既存6包装材料活用協会が行っていた義務生産者(日本の特定事業者)からの再活用分担金(日本の再商品化費用)を徴収業務、再活用事業者(日本の再商品化事業者)への支援金支払業務も共済組合およびKORAに集約された。

義務生産者は分担金を共済組合に支払い、KORAはそれを支援金として民間選別場・民間収集体系・再活用事業者に支払うことになる。

KORAの概要は次のとおりである。
 役職員数:役員2名、職員56名  予算規模:1,314億ウオン/年

1.再活用事業者数:
 複合材質119、単一材質140、PETびん31、EPS230、金属缶51、紙パック9、ガラスびん24

2.再活用義務対象品目
 包装材(4種):紙パック、ガラスびん、金属缶、プラスチック類
  プラスチック類は、PETボトル、発泡(EPS等)、プラスチック、비닐류(ビニール)(フィルム類)
 製品(5種):電池類、タイヤ、潤滑油、蛍光灯、養殖用浮子

3.再活用義務生産者の基準
 (企業規模、包装材使用料の双方に該当した場合対象とされる)
 ・企業規模
  製造業:前年売上高10億ウオン以上
  輸入業:前年売上高 3億ウオン以上
 ・再活用義務対象包装材使用料(プラスチックの場合)
  合成樹脂(発泡合成樹脂を除外):製造業4t/年以上、輸入業1t/年以上
  発泡合成樹脂 :製造業800kg/年以上、輸入業 300kg/年以上
 参考 金属缶・紙パック:製造業4t/年以上、輸入業1t/年以上
        ガラスびん:製造業10t/年以上、 輸入業3t/年以上

4.義務生産者のEPR分担金(プラスチックの場合)
義務生産者は、プラスチック包装材の総量に義務率をかけた量に対し分担金を共済組合に支払う。KORAは、義務生産者の再活用義務を代行する形で、共済組合から受け取った再活用支援金を再活用業者へ支払う。

材質 2015年度
分担金
(ウオン/㎏)
2015年度
義務率(%)
PET 単一無色 136 81.8
単一有色 201 81.8
複合材質 310 81.8
プラスチック 単一容器
(HDPE,PP,PS)
83 82.1
비닐류(フィルム)類 297 62.8
発泡スチレン EPS
(発泡スチロール)
70 79.5
PSP
(トレー、カップめん容器)
283 42.3
4、廃プラスチックの収去(日本の収集)

1.単独住宅、商店街地域、農村地域

住民は、分離排出場所(日本の収集ステーション)に分離排出する。
自治体あるいは自治体が委託した民間回収業者が、収集品別に曜日別に収去する。

写真:市民会館前の分離排出場所
写真:市民会館前の分離排出場所

写真:分離排出ボックス
写真:分離排出ボックス


2.共同住宅

ソウルや仁川などの都市部には、多くの大規模団地が造成されている。
団地毎に婦女会が組織され、古着、廃油、廃プラ、紙、等を収去業者に販売(入札方式)し、活動費としている。
なお、事業所なども共同住宅と同じ扱いだが、1,000m2以上、300kg/回 以上の事業者については、事業者の責任で排出する。

写真:仁川市共同住宅の排出場所
写真:仁川市共同住宅の排出場所

写真:「プラスチック」
写真:「プラスチック」

写真:「비닐류(ビニール)」(プラスチック製フィルム類)
写真:「비닐류(ビニール)」(プラスチック製フィルム類)

写真:「発泡PS」
写真:「発泡PS」

写真:管理人が袋に入れる
写真:管理人が袋に入れる

写真:収去トラックへの積込み
写真:収去トラックへの積込み

補足:生活廃棄物、生ごみ(飼料や堆肥に再利用できるもの)は、自治体指定の各専用ごみ袋(従量制・有料)に入れ排出することになっている。

5、「プラスチック」と「비닐류(ビニール)」のリサイクル

1.(株)DSリサイクリング(選別センター 金浦空港から北西40km) 朴社長から聞き取り。

業務内容は、ソウル、仁川の6大規模団地から「PET」「プラスチック」「비닐류(ビニール)」「発泡PS」を2000~2500t/月 収去作業、収去した「プラスチック」からMR向け樹脂別のベールを製造、同様に収去した「비닐류(ビニール)」からSRF(※)向けベールを製造である。
(※)SRF:固形燃料 Solid Refuse Fuel の略、以前はRPF(Refuse Plastic Fuel)と呼ばれていたが2013年から呼称が改められた。
(ただし、入札競争は、新規参入も有り厳しい様子である。)

「プラスチック」は、袋から出し、手作業ラインで異物を除去 トロンメル(回転式選別機)で小中大サイズに、更に磁力や光学選別機を通す。およそ50%がPET,PP,PE,PS, のベール(500~600kg/個)に、10%が金属缶、40%が残渣となっている。食品残渣付着や缶類、製品プラなど異物混入が多い。

ベールの価格 PET:350ウオン/kg
PP:白 600ウオン/kg、他500ウオン/kg
PE:白750ウオン/kg、他500ウオン/kg
PS:500ウオン/kg

「プラスチック」についてはベールが有価販売できるので、KORAからの支援金は支払われていない。
「비닐류(ビニール)」は袋から出して、缶や紙を機械と手作業で除き、ベールに。
비닐류(ビニール)ベールについては、40ウオン/kgの支援金がKORAから支払われている。

写真:「プラスチック」のトロンメル選別
写真:「プラスチック」のトロンメル選別

写真:「プラスチック」の選別ライン
写真:「プラスチック」の選別ライン

写真:着色ベール
写真:着色ベール

写真:白色ベール
写真:白色ベール

写真:PS
写真:PS

写真:「비닐류(ビニール)」ベールの出荷
写真:「비닐류(ビニール)」ベールの出荷

2.大成リサイクリング(DS社から西10km) 申社長から聞き取り
 

プラスチックベールを解砕、粉砕、水洗、してリサイクルペレットを製造している。
  リサイクルペレット価格 PP:良いもの950ウオン/kg、パレット用 820ウオン/kg、PE:白1250ウオン/kg、黒950ウオン/kg
   石油価格ダウンでペレット価格も下がっている。PP/PE混合ペレットの価格は安いとのこと。

写真:リサイクルペレットの製造ライン
写真:リサイクルペレットの製造ライン

写真:製品のリサイクルペレット
写真:製品のリサイクルペレット

3.韓国3R環境産業(選別センター)と単独住宅の分離排出現場
  (ソウル市内)金社長から聞き取り。
 

市の委託でソウル市の単独住宅、商店街地域から、「PET」「プラスチック」「비닐류(ビニール)」を収去し、選別、ベールを製造している。工場の作業内容はDS社と同じである。

写真:収去品をトラックから降ろす様子
写真:収去品をトラックから降ろす様子

写真:「プラスチック」の選別作業ライン
写真:「プラスチック」の選別作業ライン

4.(株)コリアリサイクルシステム(SRF製造) 李社長から聞き取り。

(京義道安城市 ソウル市から南に直線100km)
ソウル市などから「비닐류(ビニール)」ベールを受け入れ、SRFを製造している。
機械で金属缶などの異物を除去し、押し出し成形。
臭いの問題もあり、市内から離れた立地となっているが工場までの運賃は、ベール工場持ち。
「비닐류(ビニール)」ベールの組成 OTHER 60%、単一樹脂 20%、水分・異物20%、
KORAから支援金120ウォン/kg(昨年110ウオン/kg)が支払われている。
SRFは、染色工場のボイラーを始め製紙工場のボイラー燃料、ビニールハウス暖房燃料、スチーム工場の補助燃料、発電所の補助燃料、セメント工場などで石炭及び石油の代替燃料として有価で販売しているとのことである。

写真:到着した「비닐류(ビニール)」ベール
写真:到着した「비닐류(ビニール)」ベール

写真:異物除去装置
写真:異物除去装置

写真:除去された缶類
写真:除去された缶類

写真:SRF押し出し装置
写真:SRF押し出し装置

写真:製品のSRF
写真:製品のSRF

6、まとめ

今回は、「プラスチック」と「비닐류(ビニール)」(プラスチックフィルム類)に絞って取材した。

プラスチック容器包装の進歩は目覚ましく、環境配慮設計やリデュースが進み、性質の異なる複数の樹脂を使用した「비닐류(ビニール)」OTHERの割合が増加している。

2014年収去実績は「プラスチック」:「비닐류(ビニール)」= 49%:51% (KORA調べ)である。日本ではプラスチックとフィルム類を一緒に集めているが、複数の樹脂がラミネートされている「비닐류(ビニール)」は、材料リサイクル(MR)には適していない。単一樹脂の多い「プラスチック」と、OTHERの多い「비닐류(ビニール)」とを、最初から分けることで、「プラスチック」からは価格の高いリサイクルペレット、「비닐류(ビニール)」からは熱量が高い高品質のSRFが作られていた。「プラスチック」は、ベールとペレットが有価で販売されるため、KORAからの支援金が無くても、収去からリサイクルペレットまでのサイクルが回るのである。

台湾の四合一制も基本的には韓国と同じであり、「プラスチック」は資源回収しMRに、プラスチックフィルム類は生ごみと一緒に収集しエネルギー回収としている。また、台湾・韓国とも全国共通のルールであるため住民には分かりやすい。

(台湾の四合一制度については、弊協会HPに紹介しているので興味があればご参照願いたい。)
・協会の活動:2014年1月(掲載)
台湾の廃棄物回収制度と廃プラスチック回収・処理の実情について
http://www.pwmi.or.jp/public/new/201401/index.html
・台湾リサイクルレポート(第1号~4号)
http://www.pwmi.or.jp/public/taiwan/index.html

廃プラスチックのリサイクル・有効利用の技術・手法は、近年著しく発展し、今後も一層の進歩が期待されるが、あわせてその手法、システムの客観的且つ合理的な適正評価法の開発が求められる。リサイクルが目的になってしまうと、えてして環境負荷が増加することが多い。要は「集めたものをどうリサイクルするか」ではなく、「どのようなものを何にリサイクルをするために集めるべきか」と発想を転換する必要がある。汚れが少なく同一樹脂での回収や選別が可能な廃プラスチックならマテリアルリサイクルに、複合(混合)樹脂あるいは汚れ・劣化のひどい廃プラスチックならケミカルリサイクルやサーマルリサイクルで処理するといった方向付をハッキリとさせるべきである。今後は、プラスチックとリサイクルについて,正しい知識と情報を広く浸透させていくことはますます重要となる。当協会としても、今後も広報活動を通じて実態に則したリサイクルの発展に尽力していきたい。

関連情報
・韓国ウオン為替レート   1ウオン = 0.11円 (2015年3月20日)
・発泡スチロールと発泡トレーの表示は、「プラスチック」PS
・用語は韓国語のハングル表示を漢字に変換した。
・ 비닐류 ビニールと読み、韓国ではプラスチック製フィルム類のこと。

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