2022.12.16

2022年12月掲載 2021年廃プラスチック総排出量は824万t、有効利用率は87% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

2022年12月掲載 2021年廃プラスチック総排出量は824万t、有効利用率は87% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、その概要をご紹介します。
 2020年にマテリアルリサイクル(MR)品の輸出に関連するフロー図の各構成要素の内容が明確になったことから、本年は、フロー図のスキームを見直し、それに基づいて計算フォーマットを変更しました。

2021年廃プラスチック総排出量は824万t、有効利用率は87% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

下記3つの変更した計算フォーマットを使用した場合のフロー図諸値へ及ぼす影響について評価を行った結果、①~③が概ね相殺されて昨年のフロー図公表値と比べて国内樹脂投入量あるいは加工ロス量に及ぼす影響は軽微(2万トン程度)であることがわかりました。
①MR(再生利用)の項目として再生材料(ペレット等)輸出量を新たに算定する
②MR品の国内循環用途を全量再生製品とする
③樹脂輸出量(貿易統計値)から再生材料輸出量分を控除する

2021年国内の「樹脂生産量」は、新型コロナウィルス行動の制約を受けながらも生産活動の回復傾向がみられ、樹脂製品の需要が増加したため、前年比82万t増の1,045万tとなりました。その内訳は下図のとおりで、生産量はポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。

樹脂生産量の表

樹脂生産量(1,045万t)の樹脂種類別内訳

また「廃プラ総排出量」は前年比2万t増の824万tとなり、このうちの87%にあたる717万tが有効利用されました。

廃プラスチックの総排出量の表

廃プラスチックの総排出量・有効利用/未利用量・有効利用率の推移

「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。

廃プラ総排出量の表

廃プラ総排出量(824万t)の内訳

上記「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(419万t)、「産業系廃棄物」(405万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の8割近くを、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「包装・容器等/コンテナ類」の二つで全体の半分を占めていることがわかります。

廃棄物の表

(左)一般系廃棄物(419万t)の分野別内訳 (右)産業系廃棄物(405万t)の分野別内訳

有効利用率87%の内訳は、マテリアルリサイクル21%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)62%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、13%(107万t)を占める未利用の単純焼却(8%:63万t)、埋立(5%:45万t)をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。

廃棄物計の表

一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は、プラ屑として56万t、再生原料として75万tの合計131万tで、マテリアルリサイクル品の約3/4が輸出されています。

マテリアルリサイクル品の利用先の表

マテリアルリサイクル品の利用先

フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差をとることで求めています。

フロー図記載数値に基づく2021年のエネルギー削減効果は、前年比12PJ増の256PJ (一般系廃棄物97PJ、産業系廃棄物159PJ) となりました。これは、家庭消費総エネルギー量の7.9%、465万世帯分に相当します。

 

またCO2削減効果は、前年比86万t増の1,770万t(一般系廃棄物636万t、産業系廃棄物1,134万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の7.8%、460万世帯分にあたります。

 

* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む) : 3,246PJ(55.0GJ/世帯)
* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.28億t-CO2 (3.86t-CO2/世帯)
上記は2021年の経産省・環境省データを基にプラスチック循環利用協会で計算した値を使用
* 全世帯数 : 5,907万世帯 (2020.1.1. 総務省Webサイトより)
* GJ: ギガジュール=10の9乗ジュール
* PJ: ペタジュール=10の15乗ジュール

廃プラスチックの有効活用の表
廃プラスチックの有効活用の表

プラスチックを使うことはややもすれば環境に悪いものとみられがちですが、上記のとおりプラスチックうまく使うことによって実は環境負荷軽減に多大な貢献しているということをおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

■フロー図詳細をお知りになりたい方はここをクリックしてください
※フロー図冊子も無料で配布しています(当協会HPからも請求できます)。

2021年度、リデュース率25.6%、リサイクル率86.0%に ―PETボトルリサイクル推進協議会―

11月、PETボトルリサイクル推進協議会が「PETボトルリサイクル年次報告書2022」を公表しましたので、その概要をご紹介します。

 

同報告書によると、04年度を基準年とした21年度「指定PETボトル」については、全体での軽量化率(表1)が25.6%、削減効果量が19.0万tとなりました(図1)。軽量化率は前年度比では0.3ポイントの伸びとなっており、軽量化への取り組みが地道に進められていることがわかります。近年の成形技術・充填技術の進展によるPETボトルの軽量化は目覚ましいものがあり、2004年度に比べ、主要な用途・容器サイズ計17種で2~40%の軽量化が実現しています。

有効利用率の方程式

表1 軽量化率算定方法

容器軽量化による削減効果と軽量化率の推移の表

図1 容器軽量化による削減効果と軽量化率の推移(2004~21年度)

軽量化に係る指定PETボトル・主要17種の目標と21年度実績は図2のとおりで、17種中3種(清涼飲料《耐熱》の1,500ml、同《無菌》の2,000 ml、しょうゆの500ml)については2025年度軽量化目標達成済みであり、残る14種も目標達成に向けた取り組みが着実に進められています。

軽量化目標と実績のグラフ

図2 指定PETボトル・主要17種の軽量化目標と実績(2021年度)

PETボトルは年々出荷量を大きく伸ばしていますが、出荷量増がどう環境に影響を及ぼしているかを示したのが表2と図3です。これらをみると21年度のPETボトル出荷本数は234億本と基準年度(04年度)比1.58倍増となりましたが、環境負荷(CO2排出量)は210万tと基準年度の1.00倍と変わりませんでした。その理由について報告書では、「ボトルの軽量化をはじめとする省資源・省エネルギーの取り組みの効果が表れたものと考える」としています。

環境負荷比率の表

表2 基準年度(2004年度)と2021年度の環境負荷(CO2排出量)比較

環境負荷のグラフ

図3 清涼飲料用PETボトルの出荷本数とその環境負荷(CO2排出量)の推移(2004~21年度)

一方リサイクル率については、指定PETボトル販売量が前年度比3.0万t増の58.1万tであったのに対しリサイクル量が前年度比1.0万t増の50.0万tであったため、前年度比2.8ポイント減の86.0%と、自主行動計画目標2025「85%以上維持」を達成しました。この数値は、欧米をはるかに凌駕する世界最高水準であり、我が国のPETボトルリサイクル意識の高さを改めて確認することができます(図4、5、6)。

回収・リサイクルの概要

図4 回収・リサイクルの概要(2021年度)

国内再資源化と海外資源化のグラフ

図5 国内再資源化と海外資源化(2012~21年度)

図6 日米欧のPETボトルリサイクル率の推移(2012~21年度)

2021年度回収量64.1万t中、市町村回収は32.6万tでしたが、そのうち23.7万tが公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人)に引き渡され、残る8.9万tが指定法人以外の独自処理となりました(独自処理率27%)(図7)。

PETボトルリサイクル率

図7 指定法人引き渡し量および独自処理量の推移(2012~21年度)

一方使用済PETボトルの輸出については、21年度については、12.5万tと前年度比4.6万t減少しました(図8)。また、2021年1月から施行された「プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」において、使用済みPETボトルのベール品は規制対象となり、事実上輸出できなくなりました。

独自処理量の推移

図8 使用済PETボトルの形態別輸出量推移(2012~21年度)

報告書では、国内向け再生PET樹脂が何に、どれだけ利用されているかについての調査結果も示されています。21年度では35.6万tまで調査することができました。主な用途は、シートが12.0万t(前年度比+0.3万t)、ボトル to ボトル(B to B)による指定PETボトルが11.8万t(前年度比+3.1万t)、繊維が6.5万t(前年度比+1.7万t)となっています。このうちB to Bによる指定PETボトルへの利用については、各飲料メーカーの再生PET樹脂材の採用計画増にともない、B to B向けメカニカルリサイクル設備の新設が報告されていることから、水平リサイクルであるB to B のさらなる伸長が見込まれるとしています(表5、図9、10)。また、国内の使用済みPETボトルにより作られたPET樹脂(ペレット)は、21年度は4.3万tが製品として輸出されたと報告しています。

 

(単位:千t)

具体的製品例と利用量

表5 2021年度具体的製品例と利用量(調査結果)(2020、21)

使用済みPETボトルの回収また流れの図

図9 2021年度使用済みPETボトルの回収/再商品化の流れ

再生PET樹脂利用量の推移

図10 ボトル to ボトルへの再生PET樹脂利用量の推移(2010~21年度)

リユースについてはどうでしょうか。このことについて報告書では、①安全性の問題(リターナブルPETボトルは予期せぬ汚染があった場合、PETボトルに吸着された汚染物質をボトル状態での洗浄技術・検査技術では100%除去することは困難であること)、②環境負荷の問題(リターナブルPETボトルが、ワンウェイPETボトルより環境負荷が小さくなるのは、空ボトル回収率が90%以上で、販売拠点から工場までの返送距離が100㎞未満という非常に限られた条件下のみであること)などから、リユースは難しいとする判断に変わりはないとしています。

 

有効利用率についても詳しく述べています。2019年5月に策定・公表された「プラスチック資源循環戦略」のマイルストーンに先立ち、全国清涼飲料連合会が清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言として18年11月に表明した「2030年までにPETボトルの100%有効利用を目指す」を受けて、同推進協議会でも新しい目標として19年度に「2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す」を設定しました。

 

2021年度のリサイクル量は50.0万トン、リサイクルされなかった量は8.1万トンで、内訳はリサイクル工程で発生する残渣が4.7万トン、残りの3.5万トンは可燃ごみ・不燃ごみとして排出された量として計算します。残渣で熱回収された量は4.0万トン、可燃ごみ・不燃ごみで熱回収された量は環境省の可燃ごみの有効利用率94%を使用して算出した3.3万トンの計7.2万トンを熱回収量として推定し、21年度のPETボトルの有効利用率は98%と報告しています(表6、図11)。

有効利用率の方程式

表6 有効利用率算定方法

有効利用率の算出の図

図11 有効利用率の算出(概略図)(2021年度)

更に報告書では、2020年度データを用いた場合の環境負荷の側面からみたリサイクル効果評価についても触れています。それによると、日本で利用されている指定PETボトルの、「リサイクル・再利用あり」の場合の資源採掘から生産・利用・回収・リサイクル・再利用(利用不可物の廃棄処理を含む)までのCO2総排出量は177万tであり、「リサイクル・再利用なし」とした場合のCO2総排出量320万tに対して、約45%の削減効果があったとしています(図12、表7)。リサイクル・再利用を進めることでCO2排出量を143万t抑えることができたということになります。

CO2排出量削減効果(2020年度)

図12 CO2排出量削減効果(2020年度)

リサイクルの基本データ

表7 2020年度基本データ

報告書では、3R推進のための自主行動計画2025(2021年度~2025年度))の策定について報告しています。このほかにも、2022年4月から施行されたプラ新法に対応した自主設計ガイドラインのさらなる充実、分別排出からはじまるPETボトルリサイクルの流れ、PET樹脂のマテリアルフロー、PETボトルとリサイクルの歴史、海洋プラスチックごみ問題への取り組みなど、様々な役に立つ情報が盛り込まれています。

 

※「PETボトルリサイクル年次報告書2022」は、PET推進協のホームページからダウンロードできます。

■PETボトルリサイクル推進協議会
https://www.petbottle-rec.gr.jp/