2018.12.15

2018年12月掲載 2017年廃プラスチック総排出量は903万t、有効利用率は86% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

2018年12月掲載 2017年廃プラスチック総排出量は903万t、有効利用率は86% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、概要をご紹介します。

2017年廃プラスチック総排出量は903万t、有効利用率は86% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

2017年の国内の「樹脂生産量」は、前年比27万t増の1,102万tとなりました。その内訳は下図のとおりで、生産量はポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。

プラスチック表

樹脂生産量(1,102万t)の樹脂種類別内訳

また「廃プラ総排出量」は前年比4万t増の903万tとなり、このうちの86%にあたる775万tが有効利用されました。

プラスチック表

廃プラスチックの総排出量・有効利用/未利用量・有効利用率の推移

「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。

プラスチック表

廃プラ総排出量(903万t)の内訳

上掲「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(418万t)、「産業系廃棄物」(485万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の8割近くを、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「包装・容器等/コンテナ類」の二つで全体の半分を占めていることがわかります。

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(左)一般系廃棄物(418万t)の分野別内訳 (右)産業系廃棄物(485万t)の分野別内訳

有効利用率86%の内訳は、マテリアルリサイクル23%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)58%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、14%を占める未利用の単純焼却、埋立をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。

プラスチック表

一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は129万tで前年に引き続いての減少となりました。

プラスチック表

中国の廃棄物輸入規制による影響は、年末からの適用であったこともあり、2017年については目立った影響は見られないようですが、適用が本格化した2018年では月次ベースで輸出量が大きく減少しており、2018年廃プラスチックのフローにどのような影響をもたらすか非常に注目されるところです。

 

フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差をとることで求めています。

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フロー図記載数値に基づく2017年のエネルギー削減効果は、前年比2PJ増の218PJ (一般系廃棄物81PJ、産業系廃棄物137PJ) となりました。218PJは、家庭消費総エネルギー量の6.5%、347万世帯分に相当します。
* PJ: ペタジュール=10の15乗ジュール

 

またCO2削減効果は、前年比55万t増の1,699万t(一般系廃棄物571万t、産業系廃棄物1,128万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の6.5%、345万世帯分にあたります。

 

* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む) : 3,355PJ( 62.8GJ/世帯)
* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.63億トン-CO2 ( 4.92トン-CO2/世帯)

上記は2015年の経産省・環境省データを基にプラスチック循環利用協会で計算した結果を使用
* 全世帯数 : 5,340万世帯 (2015.10.1. 国勢調査結果より)

プラスチック表

プラスチックを使うことは、ややもすれば環境に悪いとみられがちですが、上掲のとおりプラスチックうまく使うことで実は環境負荷軽減に多大な貢献していることがわかります。

 

■フロー図詳細をお知りになりたい方はここをクリックしてください
またフロー図冊子も無料で配布しています(当協会HPからも請求できます)。

リデュースは着実に進展、リサイクルは目標にわずかながら届かず ―PETボトルリサイクル推進協議会―

11月、PETボトルリサイクル推進協議会(推進協議会)が「PETボトルリサイクル年次報告書2018」を公表しましたので、その概要をご紹介します。

 

同報告書によると、04年度を基準年とした17年度「指定PETボトル」については、全体での軽量化率(表1)が23.9%、削減効果量が18.1万tとなりました(図1)。軽量化率は前年度比では0.9ポイントの伸びとなっており、軽量化への取り組みが地道に進められていることがわかります。近年の成形技術・充填技術の進展によるPETボトルの軽量化は目覚ましいものがあり、例えば清涼飲料PETボトルでみると、ボトル重量が従来品に比べ2~3割も軽い製品が次々と生み出されています。

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表1 軽量化率算定方法

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図1 容器軽量化による削減効果と軽量化率の推移

軽量化に係る指定PETボトル・主要17種の目標と17年度実績は図2のとおりで、17種中5種(清涼飲料《耐熱》の500 ml、1,500 ml、同《無菌》の500 ml、酒類の4,000 ml、みりんの1,000 ml)については2020年度軽量化目標達成済であり、残る12種も達成に向けた取り組みが着実に進められています。

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図2 指定PETボトル・主要17種の軽量化目標と実績(2017年度)

PETボトルは年々出荷量を大きく伸ばしていますが、出荷量増がどう環境に影響を及ぼしているかを示したのが表2と図3です。これらをみると17年度のPETボトル出荷本数は227億本と04年度比1.54倍増となりましたが、環境負荷(CO2排出量)は217万tと04年度の1.04倍に留まっています。その理由につき報告書では、「ボトルの軽量化をはじめとする省資源・省エネルギーの取り組みの効果が表れたものと考える」としています。

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表2  2017年度と基準年度(2004年度)との環境負荷(CO2排出量)比較

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図3 清涼飲料用PETボトルの出荷本数とその環境負荷(CO2排出量)の推移

一方リサイクル率については、指定PETボトル販売量が前年度比0.9万t減の58.7万t、リサイクル量が前年度比0.2万t減の49.8万tとなったため、84.8%となりました。これは前年度比0.9ポイント増の改善でしたが、第3次自主行動計画目標「85%以上維持」にはわずかに届きませんでした。とはいえこの数値は依然欧米をはるかに凌駕する世界最高水準にあることに変わりなく、我が国のPETボトルリサイクル意識の高さを改めて確認することができます(図4、5、6)。

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図4 回収・リサイクルの概要

図5 国内再資源化と海外資源化

図6 日米欧のPETボトルリサイクル率の推移

17年度回収量62.4万t中、市町村回収は28.7万tでしたが、そのうち19.9万tは公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(指定法人)に引き渡され、残る8.9万tは指定法人以外の独自処理となりました(独自処理率31%)(図7)。

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図7 指定法人引き渡し量および独自処理量の推移

一方使用済PETボトルの輸出については、フレーク状のものとベール品とがあり、ベール品は年々わずかながら増加するもののフレーク状のものが減少傾向になっていたため、その総輸出量では減少が続いていましたが、17年度も23.7万t(フレーク状21.2万t、ベール品2.5万t)と前年度比2.7万tのマイナスとなりました(図8)。

 

18年は中国政府による廃プラ等禁輸措置が本格化することからその影響がどうなるか注目されていましたが、図9のとおり使用済PETボトル(フレーク状)の日本から中国への輸出は1~5月の間は実質ゼロ、6月以降若干の数量に留まるなど、17年とは様変わりとなっています。中国に代替えする形で東南アジア向けが増加したものの、中国・東南アジア向け総量は17年の6割程度にとどまっています。

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図8 使用済PETボトルの形態別輸出量推移

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図9 日本の輸出量推移(月毎)

報告書では、国内向け再生PET樹脂が何にどれだけ利用されているかについての調査結果も示されています。17年度では24.9万tまで調査することができました。主な用途は、シートが11.8万t、繊維が6.3万t、ボトル to ボトル(B to B)による指定PETボトルが6.1万tとなっています。このうちB to Bによる指定PETボトルへの利用については、B to B向けメカニカルリサイクル設備処理能力増加の動きがあることから、今後さらなる伸長が見込まれるとしています(表3、図10)。

プラスチック表

表3 2017年度具体的製品例と利用量(調査結果)(単位:千t)

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図10 2017年度使用済みPETボトルの回収/再商品化の流れ

リユースについてはどうでしょうか。報告書では、①安全性の問題(リターナブルPETボトルは予期せぬ汚染があった場合、PETボトルに吸着された汚染物質を、ボトル状態での洗浄技術・検査技術では100%除去することは困難であること)、②環境負荷の問題(リターナブルPETボトルが、ワンウェイPETボトルより環境負荷が小さくなるのは、空ボトル回収率が90%以上で、販売拠点から工場までの返送距離が100㎞未満という非常に限られた条件下のみであること)から、リユースは難しいとする判断は変わらないとしています。

 

更に報告書では、環境負荷の側面からみたリサイクル効果評価についても触れています。これは昨年次報告書2017で行ったLCA(ライフサイクルアセスメント)手法による環境負荷低減効果評価(15年度基本データ使用)を、その後に得たより妥当性の高いCO2排出原単位を用いて再計算したもので、日本で利用されている指定PETボトルの、資源採掘から生産・利用・回収・リサイクル・再利用(利用不可物の廃棄処理を含む)までのCO2総排出量は約194万tであり、リサイクル・再利用がなかったと仮定した場合のCO2総排出量約338万tに対し、約43%の削減効果があったとしています(図11、表4)。

プラスチック表

図11 CO2排出量削減効果

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表4 2015年度基本データ

報告書には、この他、分別排出からはじまるPETボトルリサイクルの流れ、PET樹脂のマテリアルフロー図、PETボトルとリサイクルの歴史など、様々な役立つ情報が盛り込まれています。

 

※「PETボトルリサイクル年次報告書2018」は、推進協議会のホームページからダウンロードできます。

■PETボトルリサイクル推進協議会
http://www.petbottle-rec.gr.jp/