2025.12.24

2024年廃プラスチック総排出量は911万t、有効利用率は89%「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)」を公表

2024年廃プラスチック総排出量は911万t、有効利用率は89%「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)」を公表

このたび「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(マテリアルフロー図/以下、フロー図と略称)を公表しましたので、その概要をご紹介します。
2024年度、マテリアルフロー図の精度向上を目的に下記について検討を行い、結果フロー図に反映しました。

・処理処分段階における一般系廃棄物の発電・熱利用・単純焼却の比率を見直しました。ISO(国際標準化機構)規格に則り、発電焼却に於いて発電に使われなかったエネルギーを熱利用した場合は、そのエネルギーを熱利用焼却に含める見直しを実施し、合わせて焼却所構内にて熱利用している場合(自消エネルギー)も熱利用に含めることとしました。この見直しの結果、焼却における熱利用焼却率は増加し、発電・単純焼却の割合は減少しました。


・排出段階にて使用済製品排出量を算定している排出モデルの適用について見直しました。当協会が作成した新需要分野別製品排出モデル(100年排出モデル)について、その適用範囲を広げることで、より精度の高い使用済製品排出量を推定することが可能となりました。


・マテリアルリサイクル品の再生材料についての輸出量の推定方法を見直しました。2024年度のフロー図に関しては推定値に幅を持たせることとし、来年度以降確度を高める検討をすることとしました。従い、国内循環量についても幅を持たせる形で記載しています


・能登半島地震にて発生した災害廃プラスチック量を推定し、2024年度に処理されたであろう推定量を特別計上しました。同地震により発生した廃プラスチック量については未だに公表されていませんが、既に統計データのある東日本大震災での発生量をベースに推算しました。能登半島地震による災害廃棄物は2年間にて処理される計画であるため、2024年のフロー図では推定値の半分量を特別計上し、同災害廃棄物量が確定した時点でその推定量を補正することとしています。


・2023年フロー図から公表している「プラスチック拡大容器・包材等のマテリアルフロー図」について、一般系廃棄物における容リ法対象プラスチック量の概略値を推定しました。


・これまでのフロー図の解説としてホームページに公開してきた「マテリアルフロー図の見方 データの変遷」について、最新情報に更新するとともにより分かり易い掲載内容とし、題目を「マテリアルフロー図 見方と推算方法」に改名して公開しました。合わせて、本パンフレット中でこれまで記載していた「フロー図を構成する各項目の解説」についても「フロー図の推算方法」と改め、より分かり易い内容に変更しました。

2024年国内の「樹脂生産量」は、前年対比35万t減の853万tとなりました。一方で「国内樹脂製品消費量」は、「樹脂輸入量」「製品輸入量」ごそれぞれ増加し輸出量の減少を輸入量の増加が上回ったため、24万t増となりました。

その内訳は下図のとおりで、生産量はポリエチレン、ポリプロレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン類(AS、ABS含む)の順となっています。

樹脂生産量(887万t)の樹脂種類別内訳 ※ポリスチレン類:AS、ABSを含む

本年度フロー図の精度向上の取組として製品排出モデルの適用見直しを行い「使用済瀬品は出量」の精度向上をはかりました。「使用済製品排出量」は851万tとなり、前年公開値に比して増加となり、特に「建材」「電気・電子機器」「電線・ケーブル」「輸送」分野で排出量が多くなりました。生産加工ロス量についても60万t[対前年比、+1万t:+2万t]と若干の増加となり、前述の4つの分野については主に産業系からの排出となるので、排出元の内訳としては「産業系廃棄物」について516万t、「一般系廃棄物」については395万tと、一般系廃棄物割合が減少し産業系廃棄物割合が大きく増加する結果となりました。

廃プラスチックの総排出量・有効利用/未利用量・有効利用率の推移

「廃プラ総排出量」の分野別、樹脂別内訳は下図のとおりで、昨年同様、分野別では包装・容器等/コンテナ類が、樹脂別ではポリエチレン、ポリプロピレンが主なものとなっています。

廃プラ総排出量(911万t)の内訳 ※ポリスチレン類:AS、ABSを含む

上記「分野別内訳」につき、これを「一般系廃棄物」(395万t)、「産業系廃棄物」(516万t)別でみたものが以下の図です。一般系廃棄物では「包装・容器等/コンテナ類」のみで全体の73%を、産業系廃棄物では「電気・電子機器/電線・ケーブル/機械等」と「建材」の二つで全体の半分以上を占めていることがわかります。

(左)一般系廃棄物(395万t)の分野別内訳

(右)産業系廃棄物(516万t)の分野別内訳

有効利用率89%の内訳は、マテリアルリサイクル20%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)67%となりました。有効利用率の一層の向上のためには、11%(101万t)を占める未利用の単純焼却(8%:69万t)、埋立(4%:32万t)をリサイクルの流れの中にうまく取り込んでいく必要があります。

一方、マテリアルリサイクルの利用先としての廃プラスチック輸出量は、プラ屑として55万t、再生原料として55万tの合計110万tで、マテリアルリサイクル品の約60%が輸出されています。

マテリアルリサイクル品の利用先

フロー図には環境負荷情報も記載しています。環境削減効果(削減貢献量)は、日本国内で消費されるプラスチックを対象とし、廃プラスチックをフロー図記載のとおり有効利用した場合と有効利用せずに単純焼却したと仮定した場合とについて、プラスチックのライフサイクルにおける各段階(原料調達、プラスチック製造、同加工、使用済品の収集・回収、使用済品の処理・処分)のエネルギー消費量、CO2排出量をそれぞれ算出し、各総計の差を取ることで求めています。

フロー図記載数値に基づく2024年のエネルギー削減効果は、前年比2PJ増の259PJ (一般系廃棄物96PJ、産業系廃棄物163PJ) となりました。これは、家庭消費総エネルギー量の約10%、629万世帯分に相当します。

またCO2削減効果は、前年比12万t増の1,752万t(一般系廃棄物640万t、産業系廃棄物1,112万t)で、これは家庭からのCO2総排出量の約8%、485万世帯分にあたります。

* 家庭消費総エネルギー量( 自家用車の使用量を含む): 2,525PJ(41.2GJ/世帯・年)

* 家庭からのCO2総排出量(自家用車の排出量含む) : 2.21億t-CO2 (3.61t-CO2/世帯・年)

* 全世帯数 : 6,129万世帯 (2025.1.1. 総務省Webサイトより)

* GJ:ギガジュール=10の9乗ジュール

* PJ:ペタジュール=10の15乗ジュール

プラスチックを使うことは処理の仕方によっては環境に悪いものと判断されることもありますが、上記のとおり使用後のプラスチックをうまく使う(処理する)ことによって実は環境負荷軽減に多大な貢献をしているということをおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

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※フロー図冊子も無料で配布しています(当協会ホームページからも請求できます)。