2007.02.16

2007年2月の掲載 スーパーマーケットの自動回収機にPETボトルを入れるとポイントがたまる!足立区でエコネットポイントシステムがスタート

2007年2月の掲載 スーパーマーケットの自動回収機にPETボトルを入れるとポイントがたまる!足立区でエコネットポイントシステムがスタート

スーパーマーケットの自動回収機にPETボトルを入れるとポイントがたまる!足立区でエコネットポイントシステムがスタート

PETボトル回収機
PETボトルのチップ

サミットストアー五反野店に設置されたRVM機(上)と、RVM機にたまったPETボトルのチップ(下)

東京都足立区は、2006年3月に策定した足立区環境教育基本方針・実施計画に基づき、区民、地域、学校、商店街、各種団体、事業者がネットワークを組み、区と協働で環境活動に取り組む「あだちエコネット事業」を行っています。その第一ステップとして同年11月に始まったのが、PETボトルの自動回収機を使ったエコネットポイントシステムです。

 

このシステムは、2006年7月から区内のスーパーマーケット16ヵ所に順次設置したPETボトル自動回収機に、使用済みのPETボトルを入れると、利用者のICカードに、買い物に使えるポイントがたまる仕組みです。回収機は、ノルウェーで開発されたRVM(リバースベンディングマシン)というもので、2リットルまでのPETボトルを入れると、1本ごとに4ポイントがICカードにたまります。1,000ポイント(250本分)たまると100円分の買い物券やスーパーマーケットのポイントと交換できます。また、10円相当の買い物券などと交換できる当たりくじもあります。ICカードは、店内のサービスカウンターで発行してもらえます。

 

回収したPETボトルは、区と契約した株式会社トムラ・システムズ ジャパン・アジアパシフィックが、従量制(重さによって単価が変わる)で回収して買い取り、ケミカルリサイクルの一種、原料・モノマー化する「ボトル to ボトル」という方法で、PETボトルに再生しています。

 

足立区がRVMを導入したのは、PETボトル回収等のコスト削減のほか、区民が気軽に、楽しく環境活動に参加できる機会を提供することにより、回収率を現在の70%弱からびん・缶並みの85~90%まで引き上げたいという考えからです。足立区では、PETボトルは週1回の資源回収日に収集し、大型車の導入やPETボトルをつぶしながら収集する専用車を導入して、他の都市と比べ格段に低い109円/kgという収集コストを実現しています(同規模の都市の収集コストは150円/kg)が、それでもなおごみ処理費用57円/kgとの差は大きく、リサイクルするよりもごみとして処分したほうが安上がりという状況です。そのため、民間企業のアイデアとノウハウの活用によって、PETボトルの回収率アップと回収等のコストダウンを目指しています。さらに、区民のリサイクル活動への参加を促進するため、ICカードを利用したエコネットポイントシステムをこれまで4ヵ所でスタートし、2月25日からは16ヵ所すべてに拡大します。

 

実際に、自動回収機を設置しているサミットストア五反野店を訪ねると、出入り口に自動販売機と同じような大きさのRVMがありました。ほんの10分ぐらいの間に、使用済みのPETボトルを持った客が5~6人、RVMを利用していました。子ども連れからお年寄りまで、7~8本ずつのボトルを持ってきた人が多いようで、機械の使用にも慣れている様子が伺えます。

 

機械操作は簡単です。カードを差し込んでから、水洗いしてキャップとラベルをはずしたPETボトルをRVMに入れると、機械は瞬時にペットボトルか否かを選別するとともに、透明と色つきに分別し、透明のボトル左へ、色つきは右へと分かれます。機械の中では、透明ボトルはチップ状に破砕して、10分の1に減容されています。色つきは、ここでは分別されるだけですが、設定によっては、これも破砕可能だそうです。

 

初めての人は、前の人が、ボトルを入れるのを不思議そうに見ていましたが、慣れた人は、200~500ポイントもたまっていました。水洗いやラベルはがしなどのルールがきちんと守られているため、回収したチップは非常にきれいで、いやな匂いもありません。

 

また、お店にとっても、これまでの回収ボックスだと、すぐにいっぱいになり、日に何度も片付けなければなりませんが、その場でチップになるので手間がかからず、保管スペースも少なくて済みます。

 

自動回収機を利用するお客さんの約80%以上がカードを持っているということで、足立区では、2007年度はさらに14ヵ所増やして30ヵ所、2008年度には50ヵ所まで増やす計画です。

 

RVMによる回収量は1台平均で月660kg、全体のPETボトル回収量も前年比で10~15t(/月)増加しており、区では、このまま計画を進めれば、回収率アップにつながると期待しています。また、このシステムは、視察や取材など反響が大きく、区では、他の地域にもぜひ広がってほしいと考えており、同様の取り組みを行う他の自治体との間で、ポイントを共通化することも視野に入れています。

足立区の他の取り組み

ポイントシステムは、PETボトル回収に限られたものではありません。足立区では、「エコネット事業」のもう一つの取り組みとして、「循環型食品リサイクル事業」を小学校2校で児童・保護者を対象に実施しています。この事業は、学校内に設置した生ごみ処理機に家庭の野菜くずを持参すると、ICカードにポイントがたまり、ポイント数に応じて、リサイクル肥料によって生産された有機野菜などと交換できるというものです。これにより、ごみの減量化を図るとともに、子どもたちへの食育・環境教育を推進しています。

 

さらに19年度からは、おもちゃのリサイクルとして、「おもちゃトレード事業」を開始します。区内に開設するトレードセンターに、使わなくなったおもちゃを提供するとポイントが貯まります。提供されたおもちゃは、必要に応じてトイ・ドクターがボランティアで修理・再生するほか、部品の一部を再活用します。貯まったポイントは、修理・再生された別のおもちゃと交換できます。また、ペットボトルのリサイクルで貯めたポイントも使えます。このように足立区では、環境活動に参加するとICカードにポイントが貯まり、貯まったポイントは買い物券などと交換できる仕組みを、さらに広げていきたいと考えています。

 

そのほか区では、23区が2008年度から本格実施を予定している廃プラスチックのサーマルリサイクルについても、これまで「不燃ごみ」として収集していた廃プラスチックを「可燃ごみ」として回収するモデル事業を実施しています。

足立区リーフレット「エコポイントカードはじまる!」(PDF)

ペットボトルのリサイクルで住宅用排水管  昭和電工が開発

環境負荷量の表
住宅用排水・通気・換気パイプ

昭和電工は、子会社の昭和電工建材とともに、世界で初めて、使用済みペットボトルを原料とした住宅用排水・通気・換気パイプ「ショウワエコパイプ(R)」を共同開発し、2006年7月から販売しています。

 

これまで、PET樹脂は押出成形が難しく、柔軟性・弾力性が硬質塩化ビニルに比べて劣るため、パイプ製品には不向きであると言われていましたが、改質剤の開発や成形方法の改良が行われました。その結果、一般的に使用されている硬質塩化ビニルパイプと比べ、(1)衝撃強度は同等以上の強度を有し、特に低温環境下での優位性が高い、(2)耐熱性に優れている、(3)重量が約1割軽い、などの優れた特徴をもつパイプが完成したのです。さらに専用接着剤の開発により、接着施工を可能としております。また、新技術により、製造時の投入エネルギー量は、塩化ビニルから製造された硬質パイプと比較して約1/3と少なくてすみ、すでにエコマーク商品として認定されています。

出典:昭和電工ニュースリリース

FRP 船リサイクルシステム、29府県に拡大される  日本舟艇工業会

リサイクルシステムの図

ガラス繊維強化プラスチック(FRP)でできたヨットやモーターボートは、不法投棄が問題となっていましたが、日本舟艇工業会が2005年に「FRP 船リサイクルシステム」を作ったことで、リサイクルが大きく進みました。西日本の10府県でスタートした同システムは、2006年11月から19府県に拡大されています。

FRP 船は、その製品特性(材料が高強度、大型、全国に広く薄く分布、製品寿命が長い等)から、適正な処理が困難で、それが不法投棄の要因の一つとなっていました。

 

同工業会のリサイクルシステムで、指定引き取り場所に収集後、中間処理され、セメントの原燃料としてリサイクルされるまでの工程が確立され、低コストでのリサイクルが可能となったことで、初年度だけで140隻がリサイクルされました。対象地域の拡大により、同工業会は今年度440隻のリサイクルを見込んでいます。

 

なお、リサイクルの対象は、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)を材料として使用している小型船舶(モーターボート、ヨット、PWC、漁船など)で、料金は6メートル未満のキャビンボートで52000円など、細かく決められています。

詳細は日本舟艇協会 http://www.marine-jbia.or.jp/

環境省が内窓に塩ビサッシを導入  省エネ、省Co2対策として、普及効果に期待かかる

環境省室内

環境省は合同庁舎5号館に、2006年10月、塩ビサッシの内窓が完成しました。温室効果ガス削減の国民運動を呼びかける環境省が、その一環として、塩ビサッシ内窓の断熱効果に目を向け、モデル工事を行ったものです。

10月に、合同庁舎23階及び26階の窓の一部に、「アルミサッシ」+「単板ガラス」の組合せに、「樹脂サッシ」+「低放射複層ガラス」の組合せを追加施工する2重サッシ化工事が実施され、2007年1月には、さらに追加設置されることが決まりました。

塩ビサッシは熱伝導率が高いため、断熱効果が高く、結露防止などの特長があります。アルミ製など他の窓枠と比べ、冷暖房率が向上し、省エネや温暖化ガス削減に寄与し、遮音性も高くなります。

 

今回、この工事実施に全面協力した樹脂サッシ普及促進委員会によると、日本では一般的な「アルミサッシ」+「単板ガラス」の開口部を、環境省のように「樹脂サッシ」+「低放射複層ガラス」で2重サッシ化リフォームを実施した場合、全国平均で一戸建て住宅の場合1,042kg、マンションの場合298kgのCO2削減が、暖冷房エネルギーのカットで実施できると試算しています。

 

環境省は今回のモデル工事を機に、ビルや住宅における省エネ、CO2削減対策として、樹脂サッシによる断熱リフォームの効果を広くアピールしていく考えです。

参考サイト チームマイナス6% http://www.team-6.jp/index.html

各地に広がるMOTTAINAI(もったいない)キャンペーン  マータイさんの呼びかけに賛同する取り組み

ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが「世界の言葉に」と提唱したことで、あらためて見直されているのが、「もったいない」という日本語。日本でも、毎日新聞などが、「MOTTAINAIキャンペーン」運動として進め、各地に広がっています。

 

キャンペーンは、学校、幼稚園、市民グループ、企業、政党、自治体などさまざまなところで、取り組まれ、その活動も千差万別。学校の取り組みでは、学校祭でMOTTAINAI」をテーマに展示を発表(札幌国際情報高校)、「ワンガリ・マータイ賞」を設けて環境問題に取り組む学生の活動を支援(富士常葉大学)など、さまざまです。

 

最近では、2007年1月14日に、合併しない宣言を行って自立の町づくりを進めることで知られる福島県矢祭町が、「もったいない図書館」をオープンさせました。これは、財政難を抱える同町が、MOTTAINAIキャンペーンへの取り組みのひとつとして、本の寄贈を呼びかけ、3万3000冊の図書を集めて開館したものです。

 

その他の活動詳細は、毎日新聞の愛読者サイト「まいまいクラブ」に、MOTTAINAIキャンペーンの事務局のページがあり、そちらから見ることができます。また同ページから、マータイさん本人からの日本の子どもたちへのメッセージと「MOTTAINAIソング」を含む動画や、各地のイベント情報もあるので、大いに活用できます。

 

まいまいクラブ・MOTTAINAI通信

FIFAクラブワールドカップ ジャパン2006で  帝人が飲料用プラスチックカップをポリエステル繊維にリサイクル

プラスチックでできたカップ

帝人株式会社は、2006年12月10~17日に開催された国際サッカー連盟(FIFA)主催「TOYOTAプレゼンツFIFAクラブワールドカップ ジャパン2006」で、会場内で使用される飲料用プラスチックカップ(PET樹脂製)を回収し、再び新しい繊維にリサイクルしました。帝人が同大会のオフィシャルパートナーとして、地球環境への負荷低減に寄与することを提案し、採用されたものです。

これまで、コンサートなどのイベント会場で使用されるプラスチックカップを回収してリユースする取り組みはありましたが、ケミカルリサイクルが採用されたことが特徴です。

 

帝人のグループ会社、帝人ファイバーが展開している完全循環型リサイクルシステム「エコサークル(R)」により回収・リサイクルするもので、ポリエステル製品を化学的に分子レベルまで分解し、石油から作るものと全く同じ原料を回収して、ポリエステル製品として再生する技術が活用されています。この技術でリサイクルすると、石油から新たにポリエステル原料を作る場合に比べて、消費エネルギーやCO2排出を大幅に削減することができます。また、新品と同じ原料からポリエステル製品を再生するため、繰り返しリサイクルすることが可能です。

 

大会会場で使用された飲料用のカップには、リサイクルへの協力要請がプリントされ、会場内には専用回収ボックスを設置。期間中に、カップは約21万個(重量にして3.1t)が納品されたうち、約2t分が回収され、帝人ファイバーの松山事業所でポリエステル繊維として再生されたということです。